得意分野を一つに絞って一番になる

日本市場で成功すれば世界中のどこでも成功できる:ITpro

特に気になった点が「得意分野を一つに絞って一番になる」。これもリストラ、コストカッター。

この話では、

 以前の半導体ベンダーのやり方は,自社ですべての部品を提供するというものでした。しかし,現在では,それらすべての部品について,最も優れている製品を提供するのは不可能です。一番良いプロセッサ・メーカーは,一番良いメモリーを作れません。一番良いホーム・ゲートウエイ向けASICのメーカーは,一番良いオプティカル・トランシーバは作れないはずです。

が、気になる。これが標準化によるモジュール化だ。

例えばPCを例に取ると、PCの部品の1つ1つは国際的に輸入してつくられる。台湾、中国、タイ、米国…このインパクトは、特にマザーボードを台湾製からしか選べない時点で強く思った。CPUが米国製なのは当然のように思っていたが…。このように世界でPCの部品を生産できるのは、AT機(当時はDOS/V)というPCの規格があり、その規格に合わせて製品を作れば、基本的にどの製品を組み合わせても使えるからだ。インターフェースが定義されていれば、相互接続性が確保される…これが標準化の効果だ。

(ステレオタイプで申し訳ないのだけれども)実は日本はこのモジュールを作るのが結構苦手らしく、モジュール化しない「すり合わせ」が得意だとされている。知らんけど。分野によるだろう。

1つ、エンジニアリングとは物事を極限まで削ること、削ることで不可能を可能にすること、デザインはエンジニアリングの負荷を削減すること、そしてエンジニアリングは削減された負荷の中でデザインの要求を満たすこと、なんじゃないかなーと、思いながら、ただボーっとしている。

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mixiよりGREEの方が儲かっている件について

大前研一氏のネット広告と膨大な個人情報の危うい関係という記事が面白い。

個人的には「不況に強いクリック広告」「携帯電話が銀行の端末になるとどうなるのか」あたりが興味深い。

不況に強いクリックに対しては少々不可解な点があるが、テレビCMの効果の方がより不可解なので、ネット広告の方に逃げているだけのような気がする。

携帯電話キャリアの銀行については、auの「じぶん銀行」というのはその流れで出来てきたのだな、と思えた。最近の例ではセブン銀行が融資業務を行わず、コンビニATMからの手数料のみを収入とする決済専業という形をとすることで成功を収めた。これは融資業務(不必要な機能)を削ることによって初期投資のリスクを削り取り、顧客に対してはコンビニで決済の利便性を提供するという必要最低限にして十分な仕組みになっている。これを携帯電話キャリアが上手く行うことができれば面白いし、NGNの決済機能との関連性が出てくれば、なお面白い。電子マネーもも連れ込んでくれば、もはや、財布は必要なく携帯電話で決済をする時代が来るのかもしれない。

テレビ放送がインターネットに飲まれるの部分のくだりにある、テレビ局と決別した方がよいという流れには、「「ひかりTV」を試す:ITpro」という事象がある。特定のテレビ局と組まないで行うというのも、ありなのかもしれない。

ところで、最も注目したのは以下の部分だった。

ITをイットと呼んでくれた首相がいたおかげで日本でも一気にIT化が進んだ。同時に携帯がパケット通信網を駆使してネット化し、いまではeコマース(電子商取引)の主流になる兆しも見えてきている。携帯サイトをいち早く押さえたグリーの収益や株価が日本最大のSNSであるmixi(ミクシィ)を抜いている。

この事実については、GREEMixiの決算書を見ると、3QにおいてGREEの方が儲けていることがわかる。

ユーザー数ではmixiは1600万人、GREEは1000万人超となっているが、1ユーザーあたりの利益がGREEの方が上回ってきているようだ。DeNA、mixi、GREE、SNS3社の争い|きみどりのブログのように分析している記事もある。

ユーザー数が全てではない、と改めて勉強になった出来事だった。

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NetbookサーバはLenovo IdeaPad s9eで決まりか

今時の地球に優しい自宅サーバを考えることから、未だに自宅サーバの最適モデルの検討を続けている。

最近見つけたもので最も期待が大きいのがLenovo IdeaPad Sシリーズのs9eという型番で、実売価格3万800円というLenovoらしくない価格でネット販売されていたりする。

CPUはIntel ATOM Processor N270 Single Coreだったり他のNetbookと大きく変わりはない。唯一他のNetbookと違いがあるのはPCI Expresscard/37が利用できる点だ。

ExpressCardは通常のUSB 2.0よりも高速で通信を行うことができるインターフェースで、その利点が生きるのがe-sataカードを搭載したときだ。Netbookでサーバを立てる場合に懸念する材料だったのがUSB接続におけるHDDの転送速度だった。もしNetbookでe-sata出来るなら素晴らしいと感じていたところ、s9eはそれが出来るらしいことが分かった。

裸族の雑居ビル(CRZB35ES4)|センチュリー(CENTURY)を使えば4つのHDDを接続して、1本のe-sataで接続するだけで済むので、幸せになりそうだ。

s9e(3万円)+e-sataのexpressカード(5千円)+裸族の雑居ビル(2万円)+HDD4台(4万円)

うん、やめよう。こんなの組むくらいだったら、今までのサーバ使ったほうがいい。

実際にワットチェッカーで測定を行ってみたところ、今までのサーバはそれほど電力を食っていない(せいぜい100Wh)という結果が出た。上記の機材をそろえたとしても、現状のサーバと同等の電力を食いそうな予感がする。

そして、サーバを止めて1ヶ月が経とうとしているが、そこまで不便を感じていない。大きな発見だ。

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癒し系ブームの再来中

NHKのにっぽん紀行にて、癒される音楽が流れている。

ウォンウィンツァンという方の音楽らしい。にっぽん夏紀行 オリジナルテーマ曲 「旅の始めに」ウォン・ウィンツァンとあるのだが、何処にも動画はないし、確認のしようがない。(「にっぽん紀行」でも「旅の始めに」でもどんなワードでも出てこない)

Wong Wing Tsan 言葉の部屋 <Word Room>のページでNHKとの打ち合わせ風景やレコーディングの話が載っていて面白い。

氏のページを見ていると、かのfeelというコンピレーションアルバムに参加していることが分かった。あの時代、癒し系ブームというビックウェーブがあって、乗るしかなかった。feel, image, 坂本龍一…。特にNHKの選ぶ音楽家は自分の好みに合っていた。(というよりも国営放送なのだから刷り込みされたのかもしれない)NHK経由では西村由紀江もそうだ(後にNHK教育のピアノレッスンにも登場している)。

ウォン・ウィンツァン氏の音楽はYouTube – Asian Seaピアニスト、ウォン・ウィンツァンのCD 「SATOWA (さとわ)」(この中ではAsian Dreamが好きそう。ram拡張子はreal audioなのだがVLCで試聴可能)で確認することができる。

「旅の始めに」が収録されたCDが発売されたら、一気に全部買って(送料を浮かせて)しまおうかと思っている今日この頃。

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昔作った曲がアジアっぽいって言われたのもいい思い出…

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googleのサジェスト機能は初心者に優しい

最近、多くのPC初心者の作業の様子を伺うことができる環境にいたりする。そうする中でPC利用の過程を肌で感じている。

その過程で1つ気になったのはgoogle検索の際のサジェスト機能だ。Googleサジェストが正式にGoogle検索デフォルト機能へなったのは2008 年 8 月頃のことらしい。

google検索のためにお気に入りから選ばせる。そして検索窓に「タイピング」と入力させようとしたところ、taiまで入力したところでサジェスト第一候補に「タイピング」が表示される。その後、どうするのか見ていたところ「最後までタイピングと入力するよ派」と「マウスでサジェストを選んで検索するよ派」の2つが存在していた。

「マウスでサジェストを選んで検索するよ派」についてはサジェストが出た時点で下矢印キーを利用すればキーボードのみで簡単に検索に移行できるのだが、一旦手を離してマウスを利用するという点について新鮮な驚きだった。初心者にとってマウスは安定的に利用できるインターフェースだということを再認識した。

「最後までタイピングと入力するよ派」はどちらかというと”キーボードに目がいっているのでサジェストが目に入っていない”、もしくは”サジェストされているのは分かるが、それが何の意味を持つのか分からないよ?タイピングという言葉があるから、それを打てということ?”と思っているのかもしれない。

説明が不十分だから付け足すという方向もあるが、中級者以上には目障りな忠告になってしまうかもしれない。難しい問題だ。

PC操作系インターフェースの大量の初心者と触れ合う機会は少ないので、観察を大事にしていきたい。

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プロトタイプは破棄されるために生まれる

ロボットものやSFもののフィクションの話の中でよく「プロトタイプ」が存在する。主役級のメンバーが「正規品のプロダクト」であり、それに先立って生まれた試験的な存在がプロトタイプである。話の中のプロトタイプは、研究史・開発史の中で破棄され、それに恨みを持ち暴走するが、プロトタイプゆえに欠点があるので…というストーリー展開が行われやすい。

このことから、プロトタイプはプロダクトに先立って製作されること、やがて破棄されること、欠点があることが暗に語られる。

Wikipediaにおいてプロトタイプはこのように語られる。

新製品を量産に移す前などに試験用途として作られ、製品の設計に起因する問題やその他の不具合を発見することができ、具体的な修正の検討に入ることができる。こうすることによって、量産して市場に出た後で不具合が発覚することを防ぐことができる。

プロトタイプは破棄される

フィクションの物語にたがわず、もともとプロトタイプは破棄されるために生まれる。しかしながらプロトタイプをプロダクトとしてしまうことも少なくない。その場合、プロトタイプはプロトタイプとしての役目を担っているとは考えづらい。

プログラムの世界のプロトタイプに関するTIPSでは、あえてプロダクトとは違うプログラム言語でプロトタイプを作成せよ、との意見がある。そうすることでプロトタイプをプロダクトに流用できないようにすることが目的だ。Web製作の世界のプロトタイプのTIPSでも、Webサイトを作らずに紙で作業せよ、との意見があるがこれも同じ目的だ。

プロトタイプの役割は最終的なプロダクトの目指す方向性を、大まかに指し示すことにある。プロトタイプは方向性ごとに複数存在する。選ばれなかったプロトタイプは破棄される。選ばれたプロトタイプの中で、さらにプロトタイプが生まれる。その中で選ばれ、また破棄される。そうした作業を経ていくことによって、プロトタイプはプロダクトに進化していく。

欠点がなければプロトタイプではない

プロダクトに近づくにあたって、大胆な変更は行われなくなる。なぜなら、初期のプロトタイプで既にその大胆なアイディアの採用は破棄されているからである。(時代の変化や市場調査の結果によって変化する要素もあるかもしれないが、それは初期調査が甘かったという結論になるのだろう。)欠点がなければプロトタイプではない。

プログラムの世界では、プロトタイプの度重なる破棄を重視した手法をスパイラルモデルと呼ぶ。1度で完全なる製品を目指すウォーターフォールモデルとは理念が異なる。”人は間違わない”という意志が強いものを作る力を与えるウォーターフォール、”人は間違ってもいい”という意志が諦めない永続的な力を与えるスパイラル。状況に合わせて適したものを選ぶべきだ。

過去にスパイラルモデルに感銘を受けて、やろうとしたことがあったが、なかなか上手くいかない。上手くいかない理由を考えてみたところ、1回のスパイラル(プロトタイプ)に要求するものが大きいと、大回りになってしまうため、息切れしてしまう。それが問題だったと今は考えている。

何度も挑戦するタイプのスパイラルを描く場合のコツは、初期のプロトタイプをいかに小さく描くかにあると考えている。小さく描くこととは、性能を落とす・機能を削減するために必要なことの話に通じている。真に必要なこと(顧客を満足させるに最低限十分なもの)、必要なことを満たすための足がかりを細切れすること。

分かっていてもなかなか出来ない。できないのは真に分かっていないからだろう。プロトタイプを捨てるのも、捨てられるのも、心が痛い。でも捨てられない症候群が部屋をカオスにした結果を知っているし、それらの物を整理整頓したら効率がよくなったことも知っているから、やらねばならんのだろうなぁと思う方向には向かっている。

そんなこんなで最近はプロトタイプについて考えていた。

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付け加えるなら、プロトタイプが量産型に勝つようなことがあるとすれば、それは量産機が間違った進化を経たといえるだろう。プロトタイプは本来的にはコストを考えず高価な素材、一点ものの場合が多いので、量産機に対して性能的なアドバンテージが存在するという設定は多い。しかしながら量産機の目的はプロトタイプと同等の目的遂行能力を持つことなので、正当な進化を経たのであれば搭乗者の能力以外に撃墜能力に違いは出ないはずである。その場合、搭乗者と開発者の間で利用方法に対して、意見の一致、コミュニケーションが取れていない箇所があったと見ることが妥当であろう。

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カービィを開発したHAL研究所を破綻させたデススパイラル

任天堂の岩田社長の過去の講演記録を読むと、特にデススパイラルのことが印象に残る。最近3月の末にもデススパイラルのことについて言及されたようだ。

【GDC 2009】岩田聡・任天堂社長が3年ぶりGDCのキーノートに立つ―詳しくお届けします!  – iNSIDE

岩田氏はまず、HAL研究所を破綻させたゲーム開発における「デススパイラル」について述べました。すなわち「資金的なプレッシャー」→「少ない開発期間」→「貧弱な品質」→「販売不振」というものです。任天堂が良いゲームを作れるのは資金的に余裕があるからで、資金的に余裕があるのは良いゲームを沢山売ることができるからだと岩田氏は言います、これが正のスパイラルです。では「デススパイラル」に陥らないためにはどうしたらいいか? 宮本氏の手法が参考になると岩田氏は言います。

岩田氏の定義するデススパイラルは記事中では以下のようになっている。

  • 資金的なプレッシャー
  • 少ない開発期間
  • 貧弱な品質
  • 販売不振

資金がなければ人を雇うことなどが出来ず、時間あたりのパフォーマンスを稼げない。開発期間が短ければ少ないパフォーマンスで満足できる完成度にできない。満足できない完成度では売れない。売れなければ資金がないので、人を雇うことが出来ない…それがデススパイラルだ。

個人的にこのデススパイラルに陥った場合、どのようにして解決するだろうか思考実験を行っている。

自分の考えとしては、何処かが犠牲にならなければ難しいと思っている。例えば資金が少ないことを解決するためには、1人あたりの給料を減らすことが考えられる。投資や融資を受けることは当たる作品を作れなければ難しい。何かが犠牲になって「低予算」で「短時間」で「高い品質」で「ミリオンセラー」を当てなければ資金援助は期待できないのではないか。

そう考えていたら記事中に宮本氏によるヒントが掲載されていた。

・アイデアはどこにでもある
・個人的な(限られた)コミュニケーション
・プロトタイプステージ
・小規模チーム
・複数のプロジェクト
・トライアル&エラー
・本制作ステージ

小規模な実験的なチームには大いに賛同できる。スモールスタートによるコンセプト決定は重要だ。重要だが難しい。始めは散弾銃で、最後はスナイパーライフルで仕留めるような流れだ。

この宮本氏のヒントについては、まだ咀嚼しきれていないので、後で考えようと思う。

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