複製に関するこまごまとしたこと

(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)
第四十七条の三  プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。ただし、当該利用に係る複製物の使用につき、第百十三条第二項の規定が適用される場合は、この限りでない。
2  前項の複製物の所有者が当該複製物(同項の規定により作成された複製物を含む。)のいずれかについて滅失以外の事由により所有権を有しなくなつた後には、その者は、当該著作権者の別段の意思表示がない限り、その他の複製物を保存してはならない。

プログラムのバックアップは認められる。が、滅失以外の事由により所有権を有しなくなった後には、その他の複製物を保存してはならない。

例えば、あるソフト(事務ソフト、もしくはゲームソフト)のバックアップを作成して、そのソフトの売却や譲渡を行った場合には、その複製物も削除を行わなければならない。この条項はプログラムに限り。

音楽CDや書籍については問われない。一般には、音楽CDの丸ごとコピーの後に譲渡や売却は行われていると考えられる。音楽CDの複製後の譲渡・販売行為については立法時点では想定外。立法理念に沿うと、おそらくは、違法にしたい。

原本を持っている状態での、自炊した電子書籍・もしくはリッピングした音楽データの知人へのインターネットを介した提供も小規模であればOK。私的複製であり、かつ公衆送信にあたらず。原本効果。

裁断本の売買・譲渡は、著作権法には記述されず。「第四十七条の三」はプログラムに限られるので、書籍には及ばない。裁断後に部屋が狭くなるから裁断したものを滅失・売買・譲渡したとしても問題ない。ただし、複製時点で、売買・譲渡する気マンマンだったことがもう見るからに明らかだった場合、私的複製に当たらず侵害あるかも。滅失すれば問題ない。

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まねきTV事件の最高裁差し戻しについての答え合わせ

今年最後の大物著作権裁判として昨年の12月頃に記事を書いたが、本日、結果が出たようである。

その記事では当時は、

どうやら送信可能化権の侵害を行っているかどうかを争点にしているような気がする。次点としては複製の主体はサービス運営者である、との主張か。

と予想していたようだ。

さて、答え合わせ。

答え合わせ

判決文PDF注意。

まずは、自動公衆送信について。4ページ目。

自動公衆送信は,公衆送信の一態様であり(同項9号の4),公衆送信は,送信の主体からみて公衆によって直接受信されることを目的とする送信をいう(同項7号の2)ところ,著作権法が送信可能化を規制の対象となる行為として規定した趣旨,目的は,公衆送信のうち,公衆からの求めに応じ自動的に行う送信(後に自動公衆送信として定義規定が置かれたもの)が既に規制の対象とされていた状況の下で,現に自動公衆送信が行われるに至る前の準備段階の行為を規制することにある。このことからすれば,公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,これがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たるというべきである。

お、おう。自動公衆送信装置である、と。つまり、インターネット=公衆の用に供されている電気通信回線であり、あて先が単一の機器であっても、自動公衆送信装置である、と。追記「インターネット=公衆の用に供されている電気通信回線」の概念は調べてみると一般認識だそうな追記おわり

こ、これは、著作物のインターネット転送サービスに多大に影響が出るのでは?次世代DLNAの家庭同士で音楽のやり取りなんかは著作物は禁止、出先で自分のサーバから音楽をストリーミングしての視聴も禁止さね。複製は許されても自動公衆送信は許されないんちゃうかな。

この時点で自動公衆送信しているので公衆送信権の侵害。問題は誰が侵害行為の主体か。5ページ目。

自動公衆送信が,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置の使用を前提としていることに鑑みると,その主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することがで
きる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当であり,当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者が送信の主体であると解するのが相当である。

その主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当」。おおう!

おう!おう!おう!おう!おう!自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者が主体か。この作り出す行為については微妙なのだけれども、どうも、まねきTV側がベースステーション(送信機)のアンテナへの接続と設定の肩代わりをしていたらしく、その行為が送信行為の主体性を持っている、と判断されたらしい。つまり、これは送信可能化権の侵害ということかいな。

原審との違い

簡単には、イカ以下のとおり。

知財高裁:ロケーションフリーテレビは1対1の通信なのだから自動公衆送信装置ではない。よって送信可能化にはあたらず。だから主体は誰であっても構わない。

最高裁裁定:単一の機器に送信しようとも(追記不特定の者とサービス契約が可能な状態で追記おわり)公衆回線に接続したら自動公衆送信装置である。よって公衆送信権の侵害である。ついでに送信可能化権の侵害をしている。主体は業者。

個人的な予想では、「複製主体=業者」だと思っていたが「公衆送信主体=業者」という決着だった。追記今回のポイントは、ロケーションフリーの存在自体については問わないが、本件では業者が不特定多数と契約可能である点から自動公衆送信に当たると判断されたこと。業者ピンポイント狙い。追記おわり

おさらい

公衆送信権は、(無線)放送、有線放送(CATV)、自動公衆送信(インターネット)、その他の公衆送信(FAXなど)に分けられる。同一構内の送信であれば、公衆送信にあらず。

このうち、自動公衆送信は高裁判例によって1対1であれば公衆送信と判断されてこなかったが、今回の判決で(ユーザーが用意した機器でかつ)1対1であっても公衆送信であると判断された。追記それは、業者が不特定の利用者と契約できる状態にあったので、公衆への送信とみなされた追記終わり

で、実際に公衆送信がされなかった場合にも対処できるように、公衆送信可能な状態にする行為については送信可能化権として別途定められている(平成9年)。今回の事例では、例え、用意したロケーションフリーテレビが利用されなかった(実際に公衆送信されなかった)としても、いつでも送信可能な状態になっていれば、送信可能化権の侵害である。

かつ、その送信可能にした主体は利用者ではなく、業者である。たとえ、利用者が自宅でロケーションフリーテレビを利用したとしても、利用者自身が自動公衆送信をしているので、著作権者の権利を侵害しているとみなせる。

現行のロケーションフリーテレビの利用者は…著作権を侵害している…ということである。追記侵害していないっぽい。

で、アナログ放送が終了する時期にこの差し戻しを持ってきたということは、何かに配慮しちゃったんじゃないの?と思えてくる。ロケーションフリーテレビは既に発売中止しているし、アナログ放送は停波されるので、損害はそれほど大きくはないでしょ、ということで。

という判断がされたと思うのだがどうなのだろうか。自分は法律には詳しくはないので、正しくは、この事例がキチンと分かっている人(弁護士?弁理士?)の記事を見ると良いと思う。

判決の影響

あと認識が正しければ、自宅のサーバから他人の著作物のデータ(音楽・ビデオ)を手元の端末にインターネットを介して呼び出すのは、公衆送信権の侵害になるはず。3G回線を通してiPhoneでAirVideoなどを利用して他人の著作物(自分が作成したものではない著作物)の音楽や映像を自宅サーバからストリーミングして見ることは侵害行為になるのではなかろうか。追記どうやら当たらないようだ。

これについても詳しく知りたい。

追記

誰でも番組を見る契約を結ぶことができる以上、 不特定多数に番組を放送していると認められる

というニュース文面があったので、調べる。

そして,何人も,被上告人との関係等を問題にされることなく,被上告人と本件サービスを利用する契約を締結することにより同サービスを利用することができるのであって,送信の主体である被上告人からみて,本件サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たるから,ベースステーションを用いて行われる送信は自動公衆送信であり,したがって,ベースステーションは自動公衆送信装置に当たる。

サービスの提供者に対して、誰でも契約をすることができるので、その点において不特定の者であるとされ、自動公衆送信である、とのこと。

よって、ロケーションフリーテレビも、自宅サーバから手元に著作物を送信する行為は、侵害行為に当たらなそうだ。問題になるのは、業者が不特定の者と契約する点。ロケーションフリーテレビのケースも、自宅サーバのケースも、自分だけしか利用しないので不特定の者ではない。

すなわち、業者が行う転送サービスはアウト、というのが今回の主旨かと。

ちなみにプロキシサービスについてはどうなの?という方は改正ほやほやの第四十七条の五あたりをどうぞ。

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「自炊の森」の著作権問題の争点と今後どうするべきか

昨年に今年最後の大物著作権裁判として「まねきTV」の判決が覆るかもしれない件について記事を書いたが、年末にもう1つ、衝撃的なサービスのデビユーを見ることになった。そのサービスとは「自炊の森」だ。

自炊書店「自炊の森」プレオープンレポート! 店内のマンガ/同人誌を自分でデータ化

「自炊の森」は、店内にある書籍や同人誌をデータ化して持ち帰ることができるという”自炊(※)”書店。元の書籍を購入せずとも手軽に電子書籍を入手できるのが最大の特徴で、データ化はユーザー自らが店内の業務用スキャナを用いて行う。

利用の流れは、本を選び料金を支払う、裁断済みの本が渡される、スキャン作業は自分で行う、スキャナーは店舗側が用意している、取り込んだデータは外部メディアに保存する、本は返却を行う、となっているらしい。

iPadの登場以降、自分の持っている本の吸出し作業を行うことを「自炊」と呼称するWebサイト、雑誌が出てきている。Web上の情報において自炊作業を創造してみたところ、困難かつ面倒なのは、きれいに裁断する点とスキャニングを行う点であり、ともに裁断機とスキャナーが必要になる。これらの問題をうまく解決していると言える。

それでは本題の著作権問題についてはどうだろうか。今回問題となるのは、著作権と貸与権であり、公衆送信権については関連はなさそうである。

この問題について、Web上で調べ、自分なりにまとめてみることにした。
(法律については詳しくはないので間違いがあったら指摘してください)

目的は、本件サービスが裁判になった場合に、争点となりそうな場所を洗い出すことである。

書籍またはCD,DVDに関するサービスの著作権者への許諾必要かどうかの表

本件への著作権法上問題となる点は、複製権と貸与権である。スキャン行為は複製とみなせるからである。

複製権侵害であるか否かの判断は、私的な複製であるかどうかの判定が必要である。複製の主体が利用者側であると判断されれば私的複製だが、複製の主体が業者側である(カラオケ法理:支配性および営業上の利益から)と判断されれば私的複製にあたらず、違法である。

また貸与権についても議論が必要になろう。貸本屋(ネットでレンタルブック業)であるため、許諾が必要になるのではないか、との疑問も沸く。

この2つの権利の問題については、他業種と比較することで判断を容易にするだろうと思い、下に作った表(PDF:A3用紙)へのリンクを示す。
書籍またはCD,DVDに関わるサービスの著作権者への許諾必要かどうかの表
この表を基にしながら、順に進めていきたい。

複製権

本件サービスは、図書館と比較される。自炊の森(店内の漫画を自炊するレンタルスペース)の公式アカウントからの、著作権への法解釈についてから本件サービスの言い分を引用する。

これは良くある誤解なのですが、私的複製をする為の条件としてオリジナルの本を自分で買う必要は無いのです。例えば、図書館内で設置されているコピー機を使って複製する行為も、友人から書籍を借りて複製する行為も法的に全く問題有りません。著作権法第三十条に定得られている私的複製です。

この文面において理解される図書館の複製については、半分正しく半分は誤りである。

この発言の誤り部分について論ずる。通常、図書館においてコピー(複写)を行うためには複写申込書を書くことが必要であり、また書籍の一部しか複写することはできない。そうでなければ著作権者の許諾が必要である。これは著作権法第31条にて法令に定められた図書館のみ認められている行為である。これは複写の主体が図書館側にあるとし、図書館員に代わって利用者が複写を行っているとみなされている。

これに対してこの手続きを簡略化するために平成11年、横浜市立図書館にて著作権法第30条、私的複製によるコピーの受付も始めた(参考:横浜市立図書館での事例)。これについては本来はコピー機は自動複製機器にあたり30条には反する。だが、付則5条の2にて例外措置がなされている(過去記事コンビニのコピー機は自動複製機器)。よってコンビニにあるコピー機よろしく私的複製のためのサービスを提供を開始したようだ。

現在はこの問題についてはWikipediaにあるとおり、著作権管理団体と図書館団体の契約によって附則5条の2の例外措置に頼らない形で対応をしているようである。

よって、この問題は、本件サービスが法令で定められた図書館とみなせるか否かではなく、複製の主体は誰で私的複製にあたるかどうか、が争点である。

私的複製か否か

第30条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
1.公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合

本件サービスは、裁断はすでに店側で行われており、サービス利用者は所定のスキャナーを自分で操作してスキャンを行う。このうちスキャン行為は利用者が行っているので、複製の主体は(一応は)利用者である。

「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」については零細な複製うんぬんの話があるが、明確に示されてはいない。裁判官のさじ加減だが、これを根拠にすることはなさそうである(示せといわれて示せるものではない)。

自動複製機器かどうかについては、スキャナーはそのものである。つまり、本来であれば私的複製の対象ではない。しかし(過去記事コンビニのコピー機は自動複製機器)で挙げたように文章および図画の複製に限り、自動複製装置は認められている。

よって各事象を見ている限り、私的複製と言えそうだ。

しかし、それを覆す方法もあり、それがカラオケ法理であるとの意見もある。Wikipediaのカラオケ法理内から引用する。

クラブキャッツアイ事件とは、カラオケスナック店において客に有料でカラオケ機器を利用させていた同店の経営者に対し、日本音楽著作権協会(JASRAC)が演奏権侵害に基づく損害賠償等を請求した事件である。裁判では、実際には客によってなされている曲の演奏が、店の経営者による演奏と同視できるか否かが最大の争点となった。最高裁は「店側はカラオケ機器を設置して客に利用させることにより利益を得ている上、カラオケテープの提供や客に対する勧誘行為などを継続的に行っていることから、客だけでなく店も著作物の利用主体と認定すべきである」と判断し、被告である店の経営者に対して損害賠償を命じる判決を下した。

この事件では、店はカラオケ機器を準備するだけであり、客は主体性を持ってカラオケ機器を操作し、演奏を行わせた。演奏を行ったのは客である、との店側の主張に対して、客に利用させることにより利益を得ているのだから店が演奏している(主体は店)と判断できる、とした。

本件サービスにこの論理を適用すれば、この店の利益は客の複製に強い関連を持って発生したものであり、店が複製を行っている、すなわち私的複製にあたらない、との判断をすることもできる。しかし、これについては裁判になってみないと分からない。また賠償が行われるとしても、卸と本屋に対して行われることはない(参考:「自炊の森」問題に関する専門家の見解)。

以上に述べたとおり、複製権に関しての争点は私的複製か否かであり、それを決定するのはカラオケ法理であろうと考えられる。

貸与権

本件サービスでは店は利用者に対して、営利で本の貸し出しを行っており、このための許諾、かかる著作権料を支払うべきだ、との意見がある。

確かにレンタルCDショップも商売を行っているがJASRACにはお金を払っている。JASRACのページCD・ビデオのレンタルにもその料金体系が書かれている。ネット上にはレンタルブックサービスがある。

この権利、貸し出しを行える権利は、著作権法第26条の3(貸与権)として規定されている。だったら、貸本屋(私語?)はお金を払っていたの?という疑問があるかもしれない。それに関しては経過措置(附則4条の2)があり、
書籍または雑誌の貸与の場合は例外とされていた。この措置は2004年に廃止されたため、現在では許諾が必要である。

それでは図書館では貸与権は適用されているのだろうか。それについては著作権法第38条4項が対応する。

4 公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供することができる。

すなわち、非営利であるならば、貸与は可能である。よって非営利の図書館は無償で貸し出し可能である。

そうであれば、漫画喫茶(インターネットカフェ)は著作権料を支払っているのだろうか。漫画喫茶は営利企業だ。実は著作権料を支払っていない。Wikipediaの出版物貸与権管理センターの記事内から引用する。

1990年代後半より、出版業界では公正取引委員会が再販制度廃止を検討していたことに激しく抵抗する一方、大型古書店や漫画喫茶が著作権を侵害していると攻撃する傾向が強まっていた。そのうち、漫画喫茶に対しては入場料を徴収して店内で漫画を閲覧させる行為を「貸与」と解釈し、出版物に対する貸与権の適用除外を定めた著作権法附則第4条の2を廃止することでこれを禁止すべしとの意見が業界内から挙がったが、文化庁は利用者が店外へ備え付けの本を持ち出さない限り「貸与」には当たらないとの見解を示したことからこの方針は挫折し、やがてブックオフが実験的に開始していた貸本業(コミックレンタル)が攻撃対象にすり替わった。

すなわち、「利用者が店外へ備え付けの本を持ち出さない限り「貸与」には当たらないとの見解」をすることで、文化庁は解決を図った。店外へ備え付けの本を持ち出さない限りは貸与にならない。よって本件サービスは館内ですべてが終わるため、貸与にはならないと考えられる。

2店方式ならうまくいくという意見もあるが、店から出しては貸与にあたってしまう。パチンコと一緒ではない。よくよく考えてみると中古書籍の流通の一環と考えれば不可能ではないかも(詳細はまとめのあとのオマケで)。

なお、2004年の付則4条の2の廃止により、影響を受けたのか受けなかったのか、「イトーヨーカドーこども図書館
」が廃止となっている。これも店に来る顧客に対して非営利に本を貸し出す行為は、すなわち、貸与とみなされる、と店側が判断し、自主的に廃止したものだと思われる。

以上のことから、館内ですべてのことを済ますのであれば貸与とはみなされない、との判断が考えられる。

それに対して、館内でのスキャン行為は閲覧行為を超えており、貸与に値する、よって貸与権の侵害であるとの考え方がある。

まとめ

本件サービスの争点は複製権と貸与権である。

複製権については私的複製とみなされるかどうか、すなわち、その主体が誰であるかが問題であり、利用者がスキャナーを操作している以上問題ないように見えるが、その支配性や利益、サービスの性質から主体は店側であると判断されうる条件は整っている。

貸与権については一見は漫画喫茶と同等のサービスであるように見えるが、複製行為を行っていることは明らかで、これは閲覧を超えており貸与であるとみなせる可能性もある。

(追記 18:06)カラオケ法理では自分で持ち込んだスキャナーで読み込むことを防ぐことができないような気がする。それは図書館も一緒。よって「店内複製は貸与」の方針のほうがカバーしやすいのではないか。

おまけ

補償金

私的複製がデジタルで行われると劣化しないので困る。そこで私的録音録画補償金制度(補償金制度)がある。電子書籍データにも補償金のせときますね^^

公貸権

図書館でもタダで何度でも閲覧できるのっておかしくない?人気のある作品ほど閲覧回数が多いけれども1回しか購入されない(何度も買い替えされるかもしれないけれども)。損じゃない。

ということで、閲覧回数ごとに金とる。海外では割とフツーな権利(らしい)。

裁断しなけりゃOKか

裁断しなくてもスキャンできる機器の導入が待たれますね。

スキャナーだけの利用サービスなら

合法。コンビニと一緒。

中古の本の流通はどうなの?

著作権者にお金はいかない。再販制度は本が一度売れるまで適用だから、価格は維持しなくてよい。盗品売る奴がいる可能性があるから、古物商の免許が必要。著作権者の一番の敵はブックオフ。著作権者にお金を払いたい人は新品買ってあげて下さいな。

中古の裁断本市場

たぶん合法。古物商許可とってるなら。購入した裁断本からスキャナーで自炊して、再度売れる。一番金がかからないし、楽かも。500円で裁断本を買い、500円で裁断本を売る。

その店にそのまま売るのであれば、貸与とみなされてしまうかも。店がいくつもあって、買った店と売った店が違うのなら、言い訳できるかも。A古書店B古書店Cスキャナ店の3店方式といわれても確かにそうだ。

で、これはまず現行法で防げないのではないか。

黄金パターンとしては、A裁断古書店→(配送1)→BOOKSCAN→(配送2)→B裁断古書店。著作権者がBOOKSCANを訴えないのであれば自炊する必要もなし。そのままB古書店に売ってきてもらう。(配送1)に関してはBOOKSCANは対応している(Amazon直送に対応しているから)。(配送2)については、自分で受け取って再度古書店に売りにいく必要があるかも。おっと、配送料がかかってしまうので現実的じゃないな。

著作権者として対応するには?

カラオケ法理を主張する

著作権法に不明瞭な部分が生まれる。

付則5条の2をつぶす

文章、図画の自動複製機器を絶対に許さない。なお、コンビニからコピー機はなくなる。

店内の閲覧を貸与と見なさない

漫画喫茶がつぶれる。割とこれが望ましいが、文化庁が保護したので無理筋。

店内の複写を貸与と見なす

有力筋。図書館は著作権団体と契約を進めている(はず)なので、一番被害こうむる場所がない着地点。

同じ値段で電子書籍を出す

一番、みんなが幸せになれる。

紙の書籍を出さない

エコだよ、それは!

コピーコントロールをつける

コノ ホン ハ フクセイ デキマセン

を、すべてのスキャナが認識する状況に持っていく。お札のように。

本以外で収入を得られる道を模索する

無理。

感想

ということで、「自炊の森」登場から書きたかった件をようやく消化できた。この問題は「私的複製で利益得てるんだから主体は店」もしくは「店内複製は貸与だよ」で決着すると思うのだが、裁断古書店を絡めたスキャンサービスとなると防ぎようがない。

皆さんが望んでいる根本解決は、「安価で」(これ大事、40%位の値段で)、「電子書籍が」手に入ることだ。DRMがついていようとついてなかろうと、手軽に買えたら飛びつく。着うたフルの事例もある。電子データ化すると、価格を操作しやすい、セールをしやすい。

うっかりsteamでセールしているゲーム、itunes storeでセールしているアプリ、NTT-XストアでExpress 5800 S70タイプRBを買ってしまう。セールには必要ないのに買いたくなる魔法みたいなものがある。書籍も大して興味がなかったけれどセールだから買ってみよう、読んだら面白かった次の作品は発売日に買おう、ってな展開になったら嬉しいのだ。

安価ができず定価販売するのであれば、せめて、紙書籍と電子書籍のチャンポンで販売して欲しいのだが、そうすると紙書籍は古本屋に売れるから、電子データだけ割安で手に入ることになるのか。なかなか難しい問題だ。

ともかく、利用者がスキャンする手間もコストも馬鹿らしくなるような「安価で」電子書籍が流通することを切に願う。

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こんにちわ、2011年

あけましておめでとうございます。

昨年内に届いたExpress5800 s70 タイプRB(通称、鼻毛鯖)の調整に年末からかかりきりでした。人には散々Phenomの6コアを薦めて、Phenomを乗せたいんだいと訴えてきましたがこの度Core i5に転びました。形は変われど、夢の4コアを搭載することができて感無量であります。

今回のテーマは、何でもいいから4コアが乗る土台を探して乗せよう、でした。

ノートPC(ThinkPad x60)からデスクトップPCメインで日常を過ごしておりましたが、今回改めてデスクトップPCは快適だなと思いました。特にブラウザのスクロールの滑らかさに力強さを感じております。お遊びでミドルレンジのグラフィックカードなるもの(正確にはミドルの下限)を入れてみましたが、h.264の1080p再生で信じられないくらい負荷が小さくなっております。

出荷状態のExpress5800 s70 タイプRBについては、Pentium4世代のPCをお持ちの方は迷わず買ってもよろしい性能だと思う次第であります。Pentium G6950の性能そのものも、旧世代のローエンドよりもかなり早くなっています。DDR3メモリも1月松までは2GB,4GB爆安であります。

ただ、LGA1156ソケットについては廃止される方向のようですので、CPUの乗せ替えを検討なされる場合はあくまで現状出ているものを物色することになるかと存じ上げます。場合によっては、マザーボードの交換になるかもしれません。既存のPCをお持ちの方は、マザーボードの交換をした方が割安かもですね。

個人的にはゲームをそこまでしないのでデフォルト状態のRBで十分だと感じました。もしグラフィック機能がそれほど必要ないのであればデスクトップPCではなく、ノートPC(例えばLenovo G560)がお勧めかもしれません。安いときは実質4万円程度でCore i5が手に入ります。ノートPCを常用してからデスクトップPCに移行しますと、やはり、ファンの音が気になります。常時テレビをつけていらっしゃる場合は気にならないかもしれませんが、静かな部屋で物書きにふけると気になり出します。

新しいPCの悩ましい点は、このPCをサーバにするか、常用のデスクトップ端末とするかについてであります。

そんなこんなで、新年の挨拶と思いきやPC物色記録になってしまいましたが、
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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S11HT(EMONSTER)にAndroid 2.2(Froyo)を入れてみた

先日、友人とAndroid談義をしていたら、S11HT(EMONSTER)にAndroidが入るとの情報を貰ったので、早速調べてやってみた。参考にしたのは以下の記事

これらの記事が丁寧に説明しているのでやり方は簡単だった。感謝。S11HTでAndroidのFroyo(2.2)を動かすことができた。ただし無線LANまで動かそうとすると面倒。

AndroidをWindows Mobile上で動作させるには、

  • ブートローダを書き換える
  • Haret.exeを利用してWindows MobileからLinuxカーネルをブートする

の2つがあり、今回は後者のHaret.exeを利用する。

Android環境はmicroSD内で完結するので、本体フラッシュメモリを初期化しても問題ない。というか今回、諸事情があって本体フラッシュメモリを初期化した。Androidの起動方法は毎回、Windows MobileからHaret.exeを実行するだけ。よって、容量があるmicroSDを持っていれば比較的リスクなく試すことができる(保証はしないが)。

Androidが起動したのでインターネットに接続したい。イーモバイルの回線は解約してしまっているので、無線LANでのインターネット接続をしようとした。が、記事中にもあるとおり、簡単なやり方では無線LANに接続することはできなかった。設定画面の無線LANをONにするところでエラーになってしまう。その解決方法をEMONSTER(S11HT)のAndroid 2.2で無線LANが使えたが示している。

ただ11月13日時点では、色々と事情が違ってきている部分があるようで、変更した部分があった。

とりあえずS11HTにAndroidを入れる(無線LANは使えない)

EMONSTER(S11HT)にAndroid2.2「Froyo」を入れましたの記事中にある、オリジナルの手順に従うと簡単に出来る。

1GB〜2GB程度のmicroSDカードが必要になる。今回は2GBのmicroSDを利用した。

VaniljEclair_RLS11.zipのみを利用するだけでAndroidを入れられる。defalt-kaiser.txtをdefalt.txtに名前の変更をして、board-htckaiser.panel_type=1をboard-htckaiser.panel_type=2にする。microSDにANDBOOTフォルダをコピーして、S11HTに挿し、ファイルエクスプローラからHaret.exeを実行、アプリケーション上のRunを実行するとLinuxカーネルが起動する。カーネル起動中にS11HTの真ん中にあるナビゲーションキーを押しっぱなしにしてメニューに入り、”1. Install Android”を選択してインストール。完了したら、”10. Quit”でAndroidの毛が出てきて起動する。

ただ、この作業中に問題があった。なぜかharet.exeが初回の1回しか起動できなかった。その後、「このファイルは証明書がなんたらかんたら〜」といわれて実行できなくなった。そこで端末の初期化をすることになった。

そして無線LANは利用できなかった。風の噂によると、2.6.32カーネルであれば動くとのことで、それにチャレンジすることとなった。

とりあえずS11HTに2.6.32を入れる(無線LANを使えるように)

EMONSTER(S11HT)のAndroid 2.2で無線LANが使えたがAndroid2.2で無線LANを使えるようにする重要な手がかりがある記事だった。

前半で利用したANDBOOTをANDBOOT2あたりに適当にコピーする。で、ANDBOOT2のファイルを差し替えていく。

まず、2.6.32カーネルに対応するharet-for-kernel-2-6-32.exeを準備する。これをharet.exeと差し替える。

androidhtc.git.sourceforge.netのkernel-releaseのGitレポジトリにはhtc機でAndroidを動かすためのカーネルバイナリがあるが、この中から10月29日時点のinitrd.lzmaと、11月12日時点のzImage-11-12-10をダウンロードして、それぞれinitrd.lzma、zImageとして差し替える。

initrd.gzからinitrd.lzmaにファイルが変わったので、default.txtのset initrd部分をinitrd.gzからinitrd.lzmaに変更する。

これで上手くいけばharet.exeのRun実行時にLinuxが起動する。上手くいかないカーネルだとRunを押した後にプログレスバーが最大になったところで止まり、Linuxすら起動しない。この後の作業は前半と同じ。無線LANが設定画面からONできるようになる。

ここまでで、重要な要素のandroidinstall.tgzについて説明しなかったが、これがandroidの元となるデータであり、50MB〜100MB程度ある。androidinstall.tgzには色々あるが、最終的にどのような違いがあるのか分からなかった。androidinstall.tgzそのものはカーネルの起動には関係ないはずなので、haret.exeの起動で失敗するようなら、zImageもしくはinitrd.lzma、default.txtを疑ったほうがいい。自身の試行では、前述の「Runを押した後のプログレスバーが最大になったところで止ま」る現象に数時間悩まされた。この原因はおそらくはzImageのバージョン違いだと考えているが確信はない。そのような状況になったら、Gitレポジトリの中の色々なバージョンを試してみるといいかもしれない。

で、実際に使用感はどうなの?

携帯端末で動くAndroidを触ったのは初めてなのでどうとは言えないが、割とよく動く。Windows Mobileよりいいんじゃない?と思ってしまったが、Windows Mobile状態を数年使っていない状態なので正しいかどうかは分からない。Androidマーケットから無料のゲームアプリを落としてみたが、画面が狭すぎて遊べない。

YoutubeはHQでなければかろうじて見える。ブラウザは遅いが見られる。レンダリングは比較的キレイ。でもmp4を再生しようとすると、音声しか流れず、またブラウザ自体が落ちる。ナビゲーションアプリは小さい画面ながらも使えそうな雰囲気。Google音声検索とGoogleプレイスが微妙に便利。特にGoogleプレイスのレビューや店舗メニュー。

ということでS11HT上のAndroidは少し楽しい。Androidアプリを何か作って自動で何かさせるにはアリかもしれない。

# 記憶を頼りに記事を書いたので、勘違いして書いていて動かない場所があるかもしれない。そのときはスマソ

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Googleショッピングの影響

Google ショッピングなるものが出来たというので、軽く使ってみたのだが、どう見てもアレをGoogleが作っただけじゃないかと思い、Googleで調べてみたらこの有様になっていた。

といっても、製品自体のクチコミとレビューの有無は(個人的にはあのユーザー層)大きいので、今後も強く生き残るだろうとは思うし、あの下落は信じられない。それともGoogleがクチコミや評価も回収することを踏まえてのことだろうか。

またレビューに関連して、Amazon APIでは本日11月9日から、レビュー内容が取得できなくなるらしい(http://chalow.net/2010-09-09-1.html)。iframeでレビューを表示するような仕組みになる。これはおそらくは、Amazonに投稿されたレビューが不適切であった場合に削除できないケースが発生することを防ぐための手段で、Amazonがコントロールを握るための修正だろう。どうも価格情報はそのまま取得できるみたいで、日によって変わる価格情報はコントロールせんでいいのですか?と思ったりするのだが、今はレビューが問題なのだろう。

反面、ECサイトにとってレビューが最も大事な情報で外に出したくない気持ちになったのではないか、と読んでみたり。レビューが簡単に引き出せる状況になってしまうと、今回のようなGoogleショッピングのサービスがレビューを活用して他の安い店にお客さんが流れてしまうことを嫌ったのではないか、と。といってもiframeでのレビュー提供は続けていくわけで、その気になれば表示することも可能。それなら問題ないのかなと思ったり。

価格.comのサイトを気に入っているので、少しその辺の勢力図が心配になった。

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カラオケと時代の遷移

品質史上主義。音質がいいからではなく、心に響くから聞く。カセットテープの時代だって音楽は売れていた。音質がいいからCDを買うという考え方は、もう古いのかもしれない。

覚えやすい歌。カラオケ流行と共に歌いやすい歌。その次に難しくて歌えない歌。今は、VOCALOID系の歌がカラオケランキングに食い込んでいるようで。2010年上半期JOYサウンドランキング。歌が上手いかどうかとは、また違う次元。

カラオケで歌われるということは、その集団で共通認識があるということで、みんな知っているという事なんだろうな、と。この時代、個人は自分の好きなジャンルが細分化されて、共通の好きなものを見つけることが難しいのかもしれない。商用音楽は買わないといけない。対して、ニコニコ動画で無料で見ることの出来る歌であるから、集団で共通に知ることは簡単にできる。かつ、今まで成長を見てきたVOCALOIDの歌、人間ならもっと表現できるかもしれない可能性を見せてくれる歌。そういった意味を以て、カラオケで歌おうということなのだろう、かと。

好きなものに対してはお金を払える。好きになるきっかけの窓口が減ってきているし、窓口を知らない(ラジオを知らない)。どうも窓口から流れてくる音楽も好きになれないし、好きになれたとしても、その集団で共通の認識があるかどうか分からない。見つかりやすさで考えれば、商用音楽だってYoutubeで適当に見つかる時代なのに、カラオケのランキングを占められないという事実に驚く。

そもそもカラオケに行く客層自体が大きく変わっているのか。ランキングに入っているのは女性が歌うような歌ばかり。分からない。

ともかく、著作権がそこまで厳格に適用しようと思わない作者たちと、映像つけたりアレンジしたりでマッシュアップを楽しめる文化をここまで創り上げた人々やその空気は、他の国にはない新しいモノのように思えてくる(知らないだけかもしれない)。お互いを見知らぬ一人ひとりが繋がって出来ることを少しずつ提供して、できた1つの作品が多くの人を癒したり勇気づけたりできるのであれば、それは凄いことだと思う。音楽のWiki的なものだろうか(簡単に誰もが編集できるという意味で)。

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