誰得 〜  「ペルソナ作って、それからどうするの?」を買った

「誰が得をするんだ」を略して「誰得」と書かれている発言がある。

その事象によって誰が得をするのか、を考えることには意義がある。それを意識しなければ、誰にも得にならない行動を取ってしまい、その行動は無意味、逆に価値低下を起こしてしまう可能性がある。

機能性は誰かを得にするために生み出される。機能性だけではなく、開発、研究、経営、仕事、どの作業であっても誰かを得にする。で、ありながら、その「誰か」を明確にイメージすることはできるだろうか。

行動の「損得」に関係する利害関係を意識するためには、その利害関係者に興味を持たなければならない。その利害関係者は、漠然とした括りではならない。年齢、性別、仕事、思想、目的、現在の目標、思考ルーチン、交友関係、情報リテラシーに到るまで、詳細に検討し、その仮想人物と会話できるレベルにまで到達しなければ、真に誰が得をするのか、満足する行動を取ることは難しい。

この、誰得を極めていく手法をペルソナデザインと呼ぶ。

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経営立案、企画を行う際に、顧客ターゲットをある程度まで決める。その粒度は、学生、30代サラリーマン、F1層など、漠然としたものが多い。しかし、その粒度の考えでは、顧客ターゲットが真に何をやろうとしているのか考えようという気にならない。

例えば、学生をターゲットとして考えてみても、高校生、大学生、専門学校生では考え方がまったく異なる場合がある。しかし学生という括りをしてしまったがために、その共通点だけを拾い集め、実際には存在しない架空の学生像を作り上げてしまう。その学生像は存在しないのだから、プロジェクトでターゲットを決めても混乱してしまう。また人それぞれで別の学生像を想像してしまう。

このペルソナデザインという考え方は、どの仕事をやるとしても基礎として必要な考え方だ。なぜなら仕事は誰かを得にするために行われる行動であり、誰かを明確にイメージできなければならないからだ。それが明確でなければ、「会社のために」「上司のために」「家族のために」「自分のために」働いているようなもので、顧客が不幸になろうが知ったことではない仕事になってしまう。

よって「誰得」を常に意識することが必要で、かつ、その誰を明確に決めていくことも重要だ。

ウォークマンの成功の分析から、デザインが重要な要素であることが分かり、現在はデザインの本で勉強をしている。デザインの立場から工学の世界、開発の世界を覗き見ると、非常に面白い。

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