イノジレ(3)〜検索エンジンとCMスキップ

検索エンジンが登場して数年後の98年ごろ、検索エンジンはビジネスになるか、との問いにそれはビジネスにならないと答えを持っていた。検索エンジンのビジネスモデルには大きく2つあり、1つが有料の検索エンジン、もう1つが広告モデルというモデルである。有料の検索エンジンは論外。それなら広告モデルはどうだろうか。

検索エンジンにおける広告はブラウザ上のプログラムによって排除可能であり、どのような方法で広告をつけようともそれが邪魔であれば、広告を除外するソフトウェアを人は使うであろう。よって人は広告を見なくなり、モデルとしては破綻する。しかし、そうはいかなかった。これについて詳しく考えたことはないが、おそらく広告を見たい顧客、広告が気にならない顧客のクリック数が、広告を排除したい顧客のクリック数を上回っているということだろうと考えられる。

それに対して、ある種、広告を排除する向きの動きがレコーダ界にあった。レコーダがテレビ放送を録画するときに自動的にCMをスキップして録画するという素晴らしい機能を取り巻くCMスキップ問題だ。このCMをスキップされたら困るのは広告代理店であり、広告代理店が引き上げてしまうとテレビ局は収入が入らなくなってしまう。この圧力がレコーダのCMスキップ機能の搭載を自粛させてしまう。なぜならレコーダ自体もテレビCMを活用する立場であるからだ。

このように優良企業であればあるほど、既存の顧客、既存の利害関係によって破壊的なイノベーションに取り組めなくなる。それは今のGoogleでさえ例外ではない。今のGoogleの顧客は広告主だが、彼らを裏切るような新技術に取り組むためにはGoogleの名前を捨てて取り組まなければならない。なぜなら彼らの顧客が怒るからだ。このようなジレンマを解消する1つの方法は、膨れ上がった資金で破壊的イノベーションを持つ企業を買収してしまうことだ。

と、まぁそれは良くて検索エンジンは大丈夫だったんだから、CMスキップくらいしてもいいんじゃね。

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