MY MUSIC STUDIOに関する研究

はじめに:
なぜか家にデアゴスティーニ『週刊 マイ ミュージック スタジオ』が転がっていたので観察を行う。まず、外見について述べる。次に巻末について述べる。続けて見開、特典について観察を行い、評価を行う。

外見:
創刊特別価格490円。特製バインダーつき。1バインダーにて16冊閉じることのできる仕様。バインダーの価格は590円。

巻末:
2号からの価格1,190円。定期購読のお誘い。書店・フリーダイヤル・FAX・インターネットへの誘導。創刊号〜38号の購読でマルチメディアスピーカーを全員にプレゼント。応募券を張るタイプなのでプレゼントのために初回号を再度購読する必要はなし。定期購読は送料無料、途中で解約が可能、一括払いは不要。

考察:
途中で解約が可能、一括払いは不要は矛盾していなく、定期購読によって安くなるタイプではなく、送料無料で届けることが消費者の利益。80号まで存在することから少しでも長く購読してもらうための、定期購読。途中解約が可能であるので購読に対する閾値が低い。

さらに初回号を格安で提供、かつバインダーをプレゼントすることによって、「隙間を埋める」ことに悦楽を得る日本人の特性を巧みに利用するものである。

見開:
「PCを使って、音楽作りを楽しむコースマガジンです。」と目に付く大きさで主張。楽器がひけない、楽譜が読めないレベルの相手をターゲットとする旨を伝えている。

特典:
毎号にCD-ROMが添付される。CD-ROMにはシンガーソングライター(SSW)が付属。以後はSSWと略称で表現される。音源はソフトウェア音源でありヴァーチャルサウンドキャンバスが付属。以後はVSCと略称で表現される。双方ともに本家メーカー製造元が存在するが、本誌上に確認することはできない。毎号購入することによって、SSWに新機能が追加され、それを集める楽しみを提案している。新機能については各号にて詳しい説明とともに利用方法を示す。2号の特典はマイク付ヘッドホン。

考察:
本家メーカーを記していないのは、サポートを本誌が請け負っているからだと考えられる。本家メーカーを示すことは本家にサポートを期待することになってしまう。そもそもサポートは本によって行われるのだから、メーカーにサポートを求めてはいけない。そうすることによってソフトウェアに関するコストを削減することが可能であり、消費者、メーカー、本誌の全ての利益となる。またコンポーサーにあえてSSWを持ってきた点に好意が持てる。SSWは楽譜入力機能が充実しており、初心者に優しい(思い出がある)。本格的なコンポーサーに入るまでの準備用のソフトとしては十分である。

プロジェクト:
まずはWAVファイルをSSW上に配置していき、音楽を作ることの手順を体験させている。さらにソフトの基本である読み込み、保存を習得させる。最後に今回つかった機能をまとめている。

ソフトウェア:
SSWのインストール方法を示す。まずパソコンのインターフェースに始まり、オーディオポートとUSBポートを学習させる。次にOS、CPU、メモリの確認を行い、ソフトウェアがインストールできるパソコンかどうか確認を行う。インストール画面は一枚ずつスクリーンショットを示す。SSWにおける新機能は、シリアル番号にてバージョンアップを行う旨が書かれている。バージョンアップは4~5号ごとに行うとされている。デスクトップ上にショートカットアイコンが作成されることを前提としているが、見つからない場合の手順としてスタートメニューから開く作業の写真を載せている。基本的にはインストールはCD-ROMの自動開始からはじめるが、インストールが自動開始しない場合のCD-ROMのインストーラの起動手順も書かれている。SSWの開始、終了手順も2ページにわたって書かれている。さらに2ページを利用してソフトウェア内アイコンの説明。1ページがMIDIの説明でVSCがソフトウェア音源であることを示し、その下半分がソフトの再インストールの手順を示す。1ページがショートカット表。1ページがFAQで、CD-ROMドライブの開き方、フリーズ対策、音が鳴らない場合等が書かれている。

考察:
ソフトウェアのターゲットはPCに詳しくない層をターゲットとしており、詳細にソフトウェア、PCの仕組みについて説明を行っている。そのため中級者以上のユーザにとっては必要のない説明であり、本誌を購入する意味はない(その代わりにDTMマガジンをお勧めする)。本誌の監修者は小川悦司氏であり、DTMマガジンにて記事を執筆されている方である。経験的に申し分ないと思われる。

評価:
本誌はPCに詳しくない中高年、若年層をターゲットにしており、市販のDTMマガジンよりも閾値を低く設定することによって新たな市場を開拓するものである。音楽制作に必要なPC、ハードウェア(スピーカーを含む)、音楽ソフトに関する説明を詳しく行うことによって、ターゲット層に最適化を行う。マニア層に対してターゲット層の課題は継続性であるが、本誌ではSSWの新機能の追加、各号で商業曲1曲を取り上げる、手ごろな値段、辞めやすい定期購読、初回特典のバインダーを提供することによって継続性の確保を行っている。さらに手にとりやすさとして初回特別価格の490円は魅力的であり、漠然としたPCによる曲作りの概念を伝えるには十分な価格設定である。さらにソフトウェア音源の採用によってハードウェア音源を買わずとも曲作りをすることができるPCの性能があるからこそ、実現できる企画である。

結論:
本エントリでは、MY MUSIC STUDIOの詳細な観察を行い、価格・掲載内容について解析を行った。結果、PCで曲を作りたいが、PCがわからない・楽譜が読めないレベルの若年層・中高年層は買うべきであることが分かった。

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