radikoの県域制限について

radiko.jpという地上波ラジオをそのままインターネット上で聞くことができるサービスの試験的な試みを「IPサイマルラジオ協議会」というラジオ各社+大手広告代理店という布陣で行っている。

このサービス、現時点では試験段階であり、ユーザー数は多くても2万人となっており、ラジオ各社から70万円回収しても収支が成り立つのかどうか疑問だ。

また、県域制限が存在し、関東で関西のローカル局の放送を聞くことができない。その手法はIPで制限しているようだが、東京のプロキシーを通せば聞けてしまう、形だけのものだ。この県域制限に対して批判が出ている。

この県域制限とは、今回の事例のような放送と同時にインターネットで聞けるようにする「IP再送信」が「放送」であると認められるために必要になっていると考えられる。

一時期前にテレビのIP再送信において権利処理の話題があった。それはIP再送信のための権利処理をテレビの権利処理と同等に簡潔化するということだ(参考IP放送の権利処理簡素化へ・著作権法改正案が衆院を通過)。それまで、テレビ放送のコンテンツをネットで放送する場合、新たに権利処理が必要であった。しかし、この法案によって、IP再送信による同時放送であれば、権利処理が簡略化できる。この法案が通る際に県域免許についても議論があったが、死守された。(と、記憶しているが定かではない…)

これによって、現時点でラジオ放送と同じコンテンツを試験的にIP再送信する検証において、県域制限を行ってそのまま送信することを選択したのだと考えられる。本番において権利者との権利処理が大変そうだが、実際には権利者との問題はないとラジオ局担当が答えているケースがあるので、今回の試験放送で良い結果が出た場合、新たに権利者間で契約が行われるだろう。広告主がどう考えるのか問題だが、今回の試験放送の段階で大手広告代理店が絡んできているので、上手く説得はできるのではないだろうか。

さらにTVアニメ53作品と、消費のパースペクティブによると、広告代理店自体が

 消費者が見たいのは、サザエさんであって、ニュースというメディアであって、あるいは朝まで生テレビというコンテンツなのである。すでにニュースなどは、ネットで流される場合に、新聞社が作ったものなのか、テレビ局が流しているものなのか、ブログメディアなのか、あるいは個人が書いているものなのかさえ、見分けがつかなくなりつつある。

 つまり、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌といった物理レイヤーではなく、コンテンツとその関係性というアプリケーションレイヤーが、きわめて重要な意味を持ってきているのだ。

というコンテンツベースなモノの考え方をしているので、TPOに合わせた物理レイヤーの選択が行われてくるのではなかろうか。

平成生まれになってくるとラジオとの関わりが薄くなってきているようだが、インターネットでラジオが聞けるようになるのであれば戻ってくる可能性もある。今までにラジオ局が蓄えてきたノウハウがあれば、電波を捨てても運営と番組作り(テレビ・インターネットと連動)がしっかりできるので生き残れるのではないか、と思えてくる。

問題は、県域外IP放送を始めた場合に淘汰される放送局が出てくるだろう、ということだが、これは仕方がないのだろうか。上手い生かし方が見つかればいいと思うのだが…。

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10代は自動者内くらいでしかラジオは聞かないのではなかろうか。最近はカーナビでテレビを見ているケースが多いので、少ないだろうが…

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