任天堂・岩田社長曰くiPhoneよりもキンドルのモデルに興味ある

株主・投資家向け情報:2010年3月期 第2四半期(中間)決算説明会 質疑応答

決算説明会の質疑応答のやり取りがインターネット上のテキストとして掲載されている。この中で、岩田社長が応答しているが、人に対する説明が、本当に上手いなぁと感心する。株主説明会のプレゼンでも上手さを感じていて、そのときは事前に十分な準備をしていたから素晴らしいのだ、と思っていたが、突然の質疑に対して、こうも上手く返している様を読むと、もう、常時、相手のことをよく考えて応えているのだなぁ、ということが分かり、それに感心した。

 私は、iPhone型のビジネスよりは、キンドル型のビジネスの方が興味があります。それはなぜかと言うと、お客様が通信費を負担するのではない、新しいビジネスモデルを提案しているからです。

という流れからiPhoneの月額数千円を通信料を払わなければならない点を指摘する。

 一方で、キンドルのビジネスモデルはちょっと面白くて、いったんハードを買うと、中に3Gの通信機能が入っていて、いわば携帯電話のパケット通信ができるわけですが、お客さんは(通信のためには直接)お金を払わないんです。本をダウンロードで購入すると、その時に必要なパケット代は本の代金の中に入っているというモデルです。ただ、収益が上がっているわけではないと読んだことがあります。それでも、お客さんが負担しないでできている。しかも、最近はアメリカだけでなく、世界中に展開されています。日本のたとえばキャリアさんが、あのモデルにハッピーかどうかは私は分かりません。きっとどちらかというと、アンハッピーでしょう。ですが、うまくモデルをつくられたなあと思います。

キンドルのモデルでは、サービスにパケット料が含まれるため、月額量を気にする必要がない。つまり、顧客が任天堂に通信料を含めた料金支払いを行い、その中から通信キャリアに対して任天堂が支払いを行う形式ができたら、顧客が負担をしなくてよくなるので、月額料の問題を解決できる、という点だろうか。無制限に通信を使わせるのではなく、サービスそのものに通信料を考慮した通信のコントロールを持たせる方向であれば、お客様が金額を心配することなく、通信キャリアも無制限に使われることがないので幸せではないのか、という考えだろうか。

その他、SNSや携帯ゲームとの比較の質疑応答では、

 いわゆる携帯電話の無料ゲームというものは、無料でたくさん存在するわけですから、もし、そこで得られる面白さや満足と変わらない程度のものしかDSで提供できないとすれば、我々のビジネスというのは瓦解すると思うんですね。これは、ずいぶん前に携帯電話でゲームができるようになった時に、「これから携帯ゲーム機は携帯電話に飲み込まれていくだろう」と言われていたゲームボーイアドバンスの時代の議論と似ていると思うんです。

ということを出し、携帯ゲームを認めつつも、

一方で我々は彼らとどう向き合うかという意識よりは、「どうすればお客さんはわざわざ高いお金を払ってまで、任天堂プラットフォームのソフトを買っていただけるだろうか」、「そこでしかできない魅力的な体験とは何だろうか」、それが、携帯電話の無料ゲームで味わえるようなもの、あるいはiPhoneのたくさんあるゲームでできることと大差なければ、任天堂の未来というのは暗くなるでしょう

ということから、それが、顧客が高いお金を払ってまでやりたいものを作ることができるのだろうか、限定された体験を届けることができるのか、疑問を呈している。

その他、国内ゲームと海外ゲームの売り上げの差についてや、WiiをHD化するのかについてなど、面白い議論が多く掲載されているので、ゲーム業界や技術屋社長に興味がある人は一読されると良いと思う。

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