mp3変換サービスと著作権 (4)

前回まで動画サイトとmp3変換サービスについて考察を行った。

前回までの議論の難しさは動画サイトの私的複製と絡めると、どれほど面倒であるか、という点にあった。

動画サイトとの関連の切り離し

それでは、例えば、自分が権利者である動画から、mp3を抜き出す行為をサイトに依頼する方法についてはどうだろうか。サイト運営者は、サイト利用者が権利を持っている動画からmp3を抜き出すことを謳う。利用者同士の動画の共有は行われず、利用者がアップロードを行い、運営がそれに対してmp3抜き出しを行い、利用者がダウンロードを用いて取り戻すというシナリオだ。その場合、第3者の権利を侵すことは無いので、合法であると考えられる。

この場合、サイト運営者は利用者と1対1対応するため、利用者が変換して欲しい動画をアップロードしていく場合、1つ1つ権利者がどうであるかの確認は事実上無理であると考えられし、プライバシ保護のための動画の確認は行わない。そうすることで、サイト運営者は権利者がどうであるかについては、利用者の判断を信じるしかなく、利用者が複製の主体と見なすことができるのではないか。

この議論の争点

この議論の争点は、私的複製か否かではなく、サイト運営者が利用者が持ち込んだ動画の権利を知りえたかどうか、になる。これは通常のストレージサービスと同様の言い分になる。この方針を取る場合、動画サイトとの連携に関しては積極的に示してはならない。第3者の手でこういう風に利用することも出来る、と流布されるのを待つような流れになる。また現状のような特定の動画サイトとの連携は、まずもってありえない。

前回の結論に付け足して、もう1つの結論は、この一般に動画のmp3変換を請け負う業態になるだろう。

うーん、正しいのだろうか。

追記:プロバイダ制限責任法

第三条  特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。

一  当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。

二  当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。

権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合にいくつかの例外を除いて賠償の責めに任じない。例外の1つは情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたときで、知らなければ大丈夫という話はここから来ている(はず)。

ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでないとあるので、情報の発信者、つまり無断複製の侵害の主体として運営者が認められると、発信者はサイト運営者であり、この限りではないので、賠償責任はある、ということで。

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