エクストリームスポーツの1つに数えられる一人エクストリームという競技には一人カラオケ、一人映画、一人ファミレスなどが存在する。これらは序盤難易度であり、高難易度に達すると一人お台場、一人ディズニーランドを極めることが出来る。
という冗談はさておき本題に入る。自分は、人間として最低限文化的な生活を歩んでこなかったためか、他者の娯楽要素に関して理解が及ばないケースが多々ある。それは価値観の違いと断ずることができるかもしれないが、人が何に苦労しているのか、人が何に幸せを求めているのか、について考える際に、一般的な娯楽要素がどれほどの価値を持つのか分かっていないと他者の理解は困難である、という結論に至った。
人がどのように生き、その中でどのような技術が必要とされ、その技術にどれほどの価値を感じるのか、それを知らなければ、自分の枠の中で独りよがりなものの提供になってしまう。そういったものを他者がしてきたのも見てきたし、自身がそういう方向のものを提案したりすることもあった。それがどうやら、自分の限界なのではなかろうかと思えるようになり、今年に入ってから他者の理解を進めるため、今まで体験をしてこなかった娯楽に手を出している。
逆に言えば、一般的な娯楽を体験していない稀有な存在であるため、他者には当然過ぎて見えない概念のようなものが見えることも期待している。
そうした娯楽の中でも映画というシステムが、自分にとっては不思議な存在だった。
単純に映画というものを考えれば、お金を払ってコンテンツを1回だけ見るPPV(ペイパービュー)である。それはDVDをレンタルして借りて、もしくはテレビ放送から見る行為とどれほど違うのだろうか?という点に尽きる。単純にストーリーを楽しむという次元であるのなら、テレビで見ることと違いはないはずで、映画館には他にはない特徴があるからわざわざ見に行くのだろうということが気になっていた。また、収益性においても優れているはずで、ドラマ、アニメ、特撮から映画制作という流れがある以上、儲けやすいものなのだろうかという疑問もある。昔からテレビで映画の宣伝をしているのが不思議でしょうがなかった。
まず映画館を探すのに苦労した。見たい映画のサイトから上映している映画館を探し、通り道である場所を選んで行くという手法をとった。前売り券なるものを買うと安いようだが、ふらっと入ることにした。
映画の始まる前に予告が行われており、その時間に入りたかったのだが、遅れてしまい、上映5分後に到着した。上映が始まってからでも入れるのかどうか気になったが、思い切って声をかけてみたところ、入れるようだったので、入った。
上映中のホールは真っ暗で、目が慣れていないためか、人が席に座っているのかどうかすら分からなかった。仕方が無いので、一番後ろの席から見ることにした。人はまばらで席が空いているようだった。途中、出入りする人が多い。最後列から見るスクリーンは少し小さいように感じたが、途中で慣れた。
暗い中でスクリーンに注目せざる得ない状況下で分かりやすい音響を見るという行為は、新鮮だった。家で映画を見るときは証明があり、ながら作業で、ときにはCMが入り、本気モードの音響は用意しないし、場合によってはアナログテレビで見る。一時期、遮音室を作ってホームシアターやスタジオを作りたい、5.1chをそろえたいという衝動に駆られたときがあったが、そのようなものを用意するには金がかかる。それよりも2000円弱でそのような環境を借りられるとすれば、それはそれで価値のあるものだ。
気持ち的には、映画館とは休日に気合を入れて行くものだという感覚が強く、夕方5時に入るという形は新鮮だった。夕方5時、7時でもいいとすれば、それは帰り道でも気軽に入れるということだ。問題は帰り道の途中に映画館があるかどうか、その点だ。
2000円弱の金額が高いか安いかについては、個人的には安いように感じた。現在の気持ちとしては、見たい映画があれば映画館で見たい、それほど見たいと思わないものはわざわざ借りて家で見ない、という感じに切り分けがなんとなく見える。喫茶店で勉強すると集中できるという噂があるが、映画館にもそれに似たような魅力がある。
ということで、映画というシステムが好きになったので今までにもっと見に行けば良かった、と思った。スタイルとしては少し早い帰り道の途中で見るという形がいい。ただ、ふらっと入るには、現在時刻と地理(帰り道)に合わせた映画館の上映時間の情報、また上映内容がさくっと携帯に入ってくるような状態じゃないと、(使うのは)難しい。
技術的な話だと、映画館のデジタル化が進んでいて、どーやってデータを送信したりするのか、コーデックどーすんの?とか、コピー防止どーすんの?とかが興味深い。上映環境もソニー、国内映画館のデジタル化を支援するサービスを10月より提供など情報が出てきているようなので、絵作り含めて分析しても面白いかもしれない。