一世代前に若者に多大な影響を与えたエヴァンゲリオンの焼き直し作品、ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破を見てきた。ネタバレ情報は書かないようにする。一人で映画を見に行ったのは始めてだよ、というエントリは別にする。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版は4部作であり、「序」「破」「Q」「?」というテーマで進められる。今回の破に対して、予習は、テレビで放映されたヱヴァンゲリヲン新劇場版:序を録画しながら見た程度だったが、見ておいた良かったと思った。
序はテレビ版に忠実なストーリー展開で、それほど新しいという感じ方はしなかった。
それに対して破は、そのコンセプトの通り、テレビ版の既存のシナリオを破る展開を見せている。ノベルゲームのif、もし、あの人物があの選択肢をしたら、という展開であり、その点で物語的に新要素を多く含み、その範疇として新キャラクターが組み込まれる。
この点で考えられるのは、序はともかくも資金集めのテスト的段階の位置づけ、またそれ以降のシナリオを作るための時間稼ぎのためのテーマであり、テレビ版に比較的忠実なシナリオでアニメーション部隊に投げることを目的としているように感じられる。また現在のアニメーション映画のための技術でどれほどのことが出来るのかの試験的な要素も含んでいるのかもしれない。また既存のシナリオに最初から大きく外れると、前作のファンが追いつけないという思惑もあったのかもしれない。
破に関しては、多くの絵が新規に書き起こされたものであり、また技術的に出来ることの要素も含まれており、よく出来ている。このままの作風であれば、後の2作も成功するだろうと思う。旧作を良く知っている人であれば、「破」の時点で映画館に行って損はないと思う。
作品のストーリー性に対して感じたことは、前作に対する否定が感じられた。テレビ版のシナリオは、個人の感覚として”現代に生きる子供たちの観察と現状把握”という意味合いが強かったように感じられた。子供の窮屈さというか、親子のコミュニケーションの断絶であったり、その時点の風潮を取り入れ、それを現状認識させることに努めたと感じられた。今作では、現代に生きる子供たちは大変な状況下に置かれているが、彼らは彼らなりに立ち上がろうとしており、その歩みをメッセージとして伝えるという意思が感じられた。それは前作で示すことが出来なかった、歩み寄りのような、解決へと向かうようなものだ。
そのような方向性を見ることが出来たので、見てよかったと思った。あの作品で、大変な心持ちにされた人の気持ちが、ようやく戻るときがくるのかな、と思う。