Youtubeとニコニコ動画が成功した理由についての考察

ああ、この頃、昼寝しかしてないや。

動画サービスが圧倒的なんですけど、この現象に自分的に決着をつけなきゃならないと思いまして。この数年間、インターネットに詳しい人、詳しくない人に対して「Youtube知ってる?」「ニコニコ動画知ってる?」とリサーチを行ってきました。なぜ、それを使うのか、という疑問があったからなんですけどね。

もう書いたから忘れられるや。

====

近年、動画サービスが注目を集めている。注目を浴びている動画サービスのうち、特徴的であるのはYoutubeとニコニコ動画である。なぜ、ここまで注目を浴びることが出来たのか、考察を行う。

まず、Youtubeの特徴を示す。

  • Flashを用いるのでMedia Playerを必要としないので手軽である
  • ブログに貼り付けることができるので紹介後の視聴が手軽である
  • 無償でサービスを利用することができる

このうち、登場した当時に画期的であったのは、Flashで動画を再生することである。既にビデオチャットなどのサービスは存在していたが、動画配信はそこまでなかった。さらに知名度を上げたのはブログ等に貼り付け可能だったからである。このような動画サービスは、自身のサイトに誘導し、広告を見せることで収益を上げることを基本とするが、Youtubeの場合はそれを狙わなかった。しかし無償でサービスを提供しながらも、収益を上げる方法は確立していなかった。

著作権の許諾を得られていない作品が多く投稿されたことも人気の要因と考えられる。そのため、一般受けするサービスとなり、利用者の動画サービスに対する敷居、抵抗感を一気に下げた。今まで動画サービスはある、限られたユーザにのみ利用されるサービスであった。アーカイブの圧縮解凍、コーデックのインストール、整合するプレイヤーのインストールなど、煩雑な作業が必要であった。RealPlayerをはじめとして、アプリケーションベースのインターネット経由で視聴する文化を企業は提供しようとしたが、WebベースのYoutubeに圧倒される結果となった。

以上の結果から、Youtubeの人気の要因とは

  • Webベースの視聴システム
  • 多くのコンテンツ(非合法含めて)
  • ビジネスモデルよりもブログ貼り付け等の手軽さを優先したこと

であったと仮定できる。

それではニコニコ動画の場合はどうだろうか。

ニコニコ動画へのアンケートを行っていくにしたがって、ユーザはかなり早期(2006年冬期時点)にニコニコ動画を知っていることが分かってきた。ニコニコ動画の告知は当初、限られた場所でしか行われてこなかった。なぜなら当初から多数のユーザを集める予定ではなかったからだ。だが予想に反して多数のユーザが集まってしまった。

当初のニコニコ動画は、Youtubeの動画に対して右から左に流れる文字情報を同時に表示できるのみのシステムであった。動画投稿システムは完全にYoutubeのものである。当時、マッシュアップがWebサービスの新サービスを生み出すという風潮があり、ニコニコ動画はまさにその好例であった。

その後、Youtubeからニコニコ動画のアクセス禁止が下り、ニコニコ動画は自前で動画投稿サービスを立ち上げる。その際にいくつかサービスの形態が変化している。

  • EメールによるID登録を強制し、ログインしないと動画が見ることができない
  • プレミアムサービスの開始

Youtubeでは、どのユーザでも簡単に動画を見ることができる点が大衆に好まれた特徴であった。しかしながら、ニコニコ動画ではその逆、ログインしなければ動画を見ることができない手順を追加した。この手順の追加によって、ブログへの貼り付けは行ったとしても相手がIDを持っているとは限らないので、認知度を高めるツールにはなり得なかったと考えられる。ID登録の作業は面倒であるため、ためらったユーザも多いはずである。

ブログへの貼り付けが有益ではなくなったことは別の要素を引き出す。Youtubeではブログ活用がよく行われてきたが、ニコニコ動画ではニコニコ動画サイト内のナビゲートによる導線が生まれた。よってサイト内で他の動画を見ようとする行為がいかに手軽かどうかが課題になってくる。

ニコニコ動画は収入を得る道を選んだ。その手法とは、動画サイトにありがちなコンテンツ課金ではなく、専用回線や混雑時の優先度その他などのサービス自体に対して課金を行うである。つまりコンテンツ以外のサービスの部分で収益化を図っている。QoSに対して費用を払うユーザは既に存在しているという恐るべき事実である。なぜ、このような課金を組んだのか、その理由はおそらくコンテンツに課金をおこなっても、その有償コンテンツが無償側に投稿されてしまう恐れがあったからではないか、と考えられる。さらに有償ユーザの存在は、無償ユーザにサービス品質の低さを納得させる要因となっている。

ニコニコ動画はその後、著作権許諾のない動画はすみやかに排除する方向に遷移した。その方向とは、おそらくは、改変されていない(引用されていない)動画を削除するという方針である。テレビで放送されたコンテンツをそのまま投稿されるような状況の場合、コンテンツの著作権を持つ企業と組みにくい背景があったためだと考えられる。しかし、この違法コンテンツ排除が別の意味を持ち始める。違法コンテンツが排除されたその場所には合法コンテンツのみが残る。よって、創作性でしか動画視聴の優劣を競えない場になろうとしている。

Youtubeでは収益は広告をメインとし、投稿者に対する収益のキャッシュバックを相互の利益としてビジネスモデルを組み立てようとしている。ニコニコ動画とYoutubeのビジネスモデルの大きな違いは、誰に金を払わせているかである。Youtubeでは広告出稿企業という第3者に支払わせているのに対して、ニコニコ動画ではユーザに支払わせている。広告モデルの場合、ページビューが重要であり、本来であればサイト内の循環を浴しなければならない。そしてその方向を目指していくうちに誰のためのサービスかわからなくなり、変な方向へ偏っていく恐れがある。しかしながらニコニコ動画の収入源はユーザであるので、ユーザのためにサービスを行っていけば間違いはない。ユーザの増減を参考に評価をしながら、ユーザにサービスを提供することができる。

まとめ。

動画サービスとしてYoutubeを花開かせたのはインストールを必要としないFlashの手軽さとブログ貼り付けによる口コミであり、ニコニコ動画はYoutubeのマッシュアップである。しかしYoutubeとニコニコ動画のビジネスモデルは異なり、Youtubeは企業に対する広告課金であるのに対して、ニコニコ動画はユーザに対するQoS課金である。

カテゴリー: チラシの裏 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください