HD DVDが遺したもの

NHKのニュースにて東芝がHD DVD事業から撤退する旨が報道されたようだ。この報道が事実かどうか、未だ確認はされていないが「買ったとはいわないが、圧勝」の状態ではなかったようだ。

この報道が事実であるとすれば、東芝にとって痛手だ。しかし、それが無駄になったとは思えない。Blu-rayとHD DVDは国内、国外で標準化のための激しい競争を行ってきた。BDの方がソニー・松下電器産業・シャープ、HD DVDが東芝とNECが中心となって開発を行ってきた。どちらも日本勢だったことになる。

次世代ディスクが必要であるか、必要でないかという議論は別にして、このような標準化の競争が日本勢同士で行われたことに意味があったと考えている。もし1社だけで統一されたのであれば、競争に発展せずに、ここまでの綿密な発展はなかっただろうと思われる。そして、どちらの規格が勝ったとしても、それは日本勢である。正直、どちらが勝ってもかまわない。競争があったからこそ、勝者を作り出すことができたのだと思う。

既に動画の流通媒体は、ディスクメディアからネットワークに移ろうとしている。米国のストライキを発端として、インターネット上の動画視聴時間が伸びているという話もある。Appleが映画のレンタルを始めようとしている。

HD DVDの敗北を決定付けたのは、映画配給会社の離脱と、大手チェーンの離脱だと考えられる。つまり映画が大きなキーワードであったことが伺える。日本の都市部では、そのような映画を通すことのできるブロードバンドネットワークが整備されてきている。既に次世代ディスクの規格争いではなく、ディスクかネットワークかの選択肢を消費者は迫られることになると思う。

予感として消費者はそれぞれ、日本ではディスクを、米国ではネットワーク配信を選択する気がする。その後、日本でもネットワーク配信の便利さが啓蒙され、遅れながら米国からネットワーク配信の技術とサービスのノウハウを買う。そんなシナリオが既に動き始めていると感じる。

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