iPadへの批判、誰が為の製品か

鋭い製品に対しては批判が集まることがある。iPhone、Apple TVもそうだったが、iPadも例外ではなかったようだ。その批判の矛先はシングルタスクである点、Flashコンテンツが閲覧できない点、日本においては電子書籍の販売が難しい点、重量が大きい点など様々だ。Appleゆえに新しい価値を提供してくれるだろう期待がiPadには大きすぎたのだろう。

特に重量が680gである点については、過去のいわゆるタブレットPCよりも大幅に改善されている。しかし、それでも重いという声が大きい。週間少年漫画誌が、ほぼその重量なので想像しやすいが、一箇所に直立しながら利用するものではないだろう予測が立つ。実際に、プレゼンテーションの場でもソファーに座った状態で実機のデモンストレーションが行われた。プロモーションビデオにおいても膝上、または机の上の描写が多い。iPhoneのように歩きながら利用する形態とは遠い。この点からも、部屋に据え置いて利用する、また部屋から部屋に持ち運んで利用する形態を想像するべきだろう。よって、3G搭載のものよりもWi-Fiのみ搭載の方が多くの人の利用シーンに適するだろう。

これまでの内容を踏まえて誰が利用するのか、という点について想像したい。

  • ネットブックを開く手間が面倒な環境にある専門職
  • 電子書籍のビューワーとして利用する人
  • マルチタッチ対応で素晴らしく知的なアプリケーションを享受する人
  • プレゼンテーションを簡単に行いたい人

相応しくない人は、下記の通りである。ネットブックの方が適している。

  • 既存のPCと同じように利用したい人
  • 既にiPhone(iPod touch)を持っており、iPhoneで十分である人

大衆(マス)にもギークにも、それほど適さない。ほどよく限られた知的な環境において利用されるべき製品であるし、そうした人間を満足させるに足る価格と機能性になっている。

またiPhone OSとiPadのハードウェアの双方で厳密な制限を掛けることで利用価値を見いだせない顧客を突き放している点に好感が持てる。この仕様でもしSDカードスロットやFlashに対応してしまったら、本来的にはメインストリームではない層にまでリーチしてしまい、結果的には提供したくない不便まで負わせてしまう可能性があった。その背景にはマルチタッチ対応タブレットの美しい世界に合わないものは排除したい、という考えがある。これについては利用シーンの中で説明したい。

中にはリテラシーが低い人が使うものだ、という意見もあるが、そうとは思えない。このデバイスにはリテラシーは関係ない。

–次回(翌日)は「iPadの利用シーン、電子書籍」

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