Adobe Airの片鱗

Adobe AIR コンテスト 2009というものがあるので、ちらっと見てみた。色々とすごい。デザインがしっかり作りこまれているものが受賞作になっている。つまり、デザインに近い人がこのアプリケーションを製作しているということだ。

過去にAdobeとMacromediaのシナジーについてという記事で、

Adobeの強みはデザイナー向け製品を持つことであり、RIAを実現するのであれば、デザイナー向け製品との強い結合を武器にするだろう。今まで開発を続けてきているIllustratorの愛用者であり、グラフィカルな製品を作成することに長けている。

AdobeがMacromediaを買収したことは、AdobeがRIAをやっていく上で非常に重要な戦略だったし、上手くいっている。この場合のシナジーとは、Adobeの持つデザイナー群とFlashの持つデザイナー群の融合と、それに続くRIAの道であったと思えるからだ。固有のプラットフォームに依存しない描画エンジンという強みが、Adobeの持つ製品の価値、ベクタ表現の価値、ひいてはデザイナーの価値を高めている。

と戦略の強みを考えていたのが、まさにその通りに進めてきているなぁ、と。

echo
Colabolo
日本郵政 はがきデザインキット
ブログパーツデスクトップ
アスクルデスクトップ

この手のデザイン込みこみのアプリケーションを作ろうとすると、本当に面倒だ。3大プラットフォーム(Windows, Mac, Linux)に同じように見えて同じように動くアプリケーションを作るのは、もう、無理。Adobe illustlatorとAdobe Flashの連携をデスクトップアプリケーションで何も考えずに実現できるプラットフォームは他にはない。

Adobe AIRについて

AIRとはAdobe Integrated Runtimeのことで、本来的にはAdobe AIRと表記すべきではない。AIRはデスクトップRIAを開発するためのプラットフォームであり、Windows, Mac, Linuxの3大OS上で動作することができる。この理由はAIRがAdobe Flash Player上で動作するものであり、Flash Playerが既に3大OSに対応しているからである。

またAIRではプラットフォーム上にデータベースを持っているが、それはsqliteというオープンソースの単純なデータベースだ。オープンソースの単純なデータベースだからこそ、3大プラットフォーム上の全てで動作することができている。Microsoftには出来ない芸当だ。このsqliteのデータベースとの連携が上手くいくと、サーバとの通信がレスポンスに影響しなくなり、単に検索を行うだけならsqliteに引いてきた結果から検索を行えてしまうため高速に行える。sqliteによるデータベースはディスク上に保存することができるため、次回起動時に再度データベースから取得する必要が無い。むしろ取得し終わったデータベースが保存されていれば、ネットワーク接続すら必要なしにアプリケーション上でデータの検索などができる。

こうしたデスクトップアプリケーションとデザインの親和性を受けて、新たな試みが出てきている。
SDK for FeliCa & Adobe® AIR® / Adobe® Flash® Basic ICS-DAF/B010J
AIR/FlashでFeliCa対応のアプリ開発が可能に
今までSONYのFeliCa対応SDKは.NET向けのみだったが、AIR向けのSDKも登場するようになった。Windowsの限定的なプラットフォームのみ対応とはいえ、Basicな機能のみであれば無償で利用することができる。FeliCaの暗号化領域を触ることは業務用途ではければ必要ない。FeliCaのIDを取得できるだけでも出来ることは多いので、様々なアプリケーションが出てくることだろうと思う。

こうした流れを踏まえてデスクトップアプリケーションの分野では、プラットフォームに依存しない(プラットフォーム独自の機能や3Dアクセラレータ)、また処理速度を問わないような簡単な用途であれば、Adobe AIRがほぼ勝つだろうと個人的に予想している。

カテゴリー: チラシの裏 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください