「罪と音楽」という本を買って良かった

「罪と音楽」を買った。小室氏が事件について綴った本だ。事件以外に小室氏の音楽理論が間に挟まれているのだが、むしろ、そちらの方が自分にとって、大きかった。買ってよかったと思った。

小室氏が風靡した90年代、何を言われようが私は小室氏を尊敬していた。どうやって音楽であれだけのヒットを生めるのか不思議でしょうがなかった。そのとっかかりがこの本でいくらか分かったのが嬉しかった。

小室氏は思った以上に音楽バカで、音楽を取ったら何も残らない。どれほどまでに音楽バカかというと、人の話し声や漫才などにビートを感じて、そのまま音楽を作れそうなほどの度合いだ。そのリズムを分析して、どうして芸人が魅力的なのかを独自の音楽理論で解き明かそうとしている。

またヒットする曲というものに対して入念な観察、分析を行っている。この分析に関しても独自な理論があり、その分析にしたがって歌詞を作るなどの実践を行っている。そして、今、ヒット曲を作らなければならない状況におかれて、コブクロやレミオロメンなど最近のアーティストのヒット曲の研究に余念がない。今も昔も、リスナーとなる(なってほしいと狙っている)人々の心情や行動を観察し、どのような音やリズム、ビートが欲されているのか、生活スタイルに合っているのかを詳細に分析している。

そういった意味で、対音楽の一流のマーケティング理論を持っているのだろう。またavexの松浦社長、千葉副社長の弁でも小室氏に音楽業界のことや音楽のことを教えて頂いたと裁判で発言している。彼らは仕事関係で小室氏とガチでキレあえる唯一の仲だとも書かれている。後に小室氏抜きでavexが成功した点を考えても、そうしたものは受け継がれているのかな、と(もしくはそもそも松浦氏と千葉氏が持っていたのか)。

また小室氏の技術への明るさは興味深く、「半歩先」理論が特に面白い。地デジとCM音楽の絡みで、音は高クオリティになるだとかもっとスピードが必要になるとか、ぶっ飛んでいて、確かに今を見ていて、この人は凄いと思う。この人を凄いと思えるのも、自分が信者であり、信者として補正をかけているからであるが、”この人は走りながら考えていたんだなぁ”と思うと、なぜだか分からないが、勇気をもらった気がした。

自分が小室氏の曲で一番初めに好きになったのが、「Get Wild」という曲であり、友人からタイアップという考え方を教えてもらってはそういうビジネス的な側面からも興味を持っている。その「Get Wild」に対する記述もあったので嬉しい。

続く「Get Wild」は、テレビアニメ『シティーハンター』のエンディングテーマになることが前提の曲作りだった。当然、アニメ製作側から、いくつかのリクエストがある。それに完璧に応えようとした。なぜなら、主役はあくまでもアニメだから。主役を輝かせる名脇役になることが、音楽を最大限輝かせることになると思ったのだ。

その結果は、以下の引用する動画を見ると良く分かっていただけると思う。

アニメ本編からエンディングへ、シームレスに入る手法が、本当に秀逸だと思う。、最後のシーンの留め方が、もう、涙が出てくるくらい、というか出てきた。

という感じなので、自分にはイミフな音楽理論含めて、いい本でした。

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