mp3変換サービスの過去の事例について調べよう。
livedoor エンコーダーの事例
mp3変換サービスの因縁はライブドア、音楽CDのMP3変換代行サービス「livedoor エンコーダー」−作業料は1枚199.5円で50枚単位。CCCDはサービス対象外の件から始まる。
このサービスは途中でライブドア、音楽CDのMP3変換サービスを再開−ユーザーによるデータ権利者への承諾が必要になり、最終的にはライブドア、音楽CDをMP3に変換する有料サービスを停止することになる。
livedoorは停止の理由を明らかにしていない。憶測で書くと、途中でユーザーによるデータ権利者への承諾が必要になったことは私的複製として認められないことをlivedoorが判断したからの行動ではないかと考えられる。
私的考察
私的複製が認められない理由については複製の行為の主体がlivedoor側にある点からしてダビング屋と同等の行為を行っているとみなせる。それは営業として複製行為を行っている(利益を得ている)ため、なお明らかである。よって、複製を行っている主体であるlivedoorに対して著作権者は差し止め請求を行うことができると考えられる。
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合
これについて、著作権法を引用して解説してみる。
第三十条の一において、ダビング屋を禁止するための例外条項が書かれている。これによって、ダビング屋に渡して複製する行為は一項使用する者が複製することに反する。またダビング屋が設置した機器を利用して使用する者が複製する行為も一項公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を利用することになるため反する。
なぜこのような法律になったのか考えると、この条項を定めておかないとダビング屋が複製を作れてしまうことになり、著作権者が保護されなくなってしまうからだと考えられる。
第八章 罰則
第百十九条 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第五項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第四号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者(第百十三条第三項の規定により著作者人格権又は実演家人格権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)
二 営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者
三 第百十三条第一項の規定により著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
四 第百十三条第二項の規定により著作権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
このうち重要なのは営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者は五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処される点である。
インターネット喫茶にスキャナー機器を置く事例
この件に関する事例を調べてみると、インターネット喫茶の事例で興味深い事例に出会う。例えばインターネット喫茶にスキャナー機器を置き、インターネット利用者が持参してきた書籍の読み取りを行い電子化する行為を行う場合はどうなのか、についてだ。
コンピュータを用いた例えばスキャナーによる著作物の読み取り行為は公衆の自動複製機器による複製と見られることになる。つまり、インターネット喫茶を運営する主体が権利者に無断で複製を行っていることになる。
スキャナーサービスを事業化する事例
スキャン行為を営業サービスを考えるにあたり、例えば、書籍、もしくは図版を業者が受け取り、スキャナー機器でスキャンして電子データとして渡すサービスを考えてみる。
この行為は依頼者が権利者に無断で電子データとしているならば、使用する者が複製するとは見なせない。よって、複製(スキャン)を行っている業者に利益の侵害のための著作権法による差止請求権を発動することが可能である。
注意点
ただし、これらの差止請求権を行えるのは、権利者の著作物を侵害するだろうことが明らかであるサービスにおいてである。つまり、行為の依頼者自身が権利者である場合、無断複製とはならない。この無断複製と合法の複製の割合で、サービス自体の差止になるのかどうかが決定されるのだと考えられるが、よく分からない。
例えば、前述の書籍の電子化サービスの場合、一般書籍の電子化をしますという文面でサービスを行った場合、許諾を得ている可能性は低いことから無断複製の可能性は高い。一方、書類の電子化をしますというサービスであるのなら、合法の複製の割合も分かるので、サービス自体の差止めにはならない。(が、もちろん一般書籍の電子化は行えない。)
ネットサービスにおける考察
この事例より、ネットワーク上のサービスといっても、使用者が公衆の自動複製装置を利用する場合は私的複製にあたらないため、既存のmp3変換サービスは全滅である。なぜなら動画サイトよりダウンロードを行う時点で既に複製の代行が行われており、ダビング屋と同等であるからである。
この点についてネットワーク上のサービスが公衆の自動複製装置として認められるかどうかが争点になりそうだ。ネットワーク上のサービスであるが、それの利用場所は自宅である。しかしながら、この場合の公衆の意味とは、誰でも利用することが出来る装置という意味だろうから、ネットワーク上のサービスも含まれると考えたほうがいいだろう。この事例については認証を行っていようが物理的に同一のサーバを利用していれば公衆であるという判断がMYUTA事例によって行われているため、私的範囲であるとするのは困難である。
動画から音楽を抜き出すのは複製か、という判断については、動画の中に音楽が含まれており、形状はどうであれ内容としては同一と認められるため、複製と見なせる。
よってこのままサービスを続ければ、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処される可能性は高いと判断している。
私的複製のスタート地点
個人的考察では、mp3変換サービスはどのような形であろうとも、困難であるとするのは早計であるので、どうにか通す余地はないか考察してみる。
まず私的なネットワークの範囲で複製するという行為を考え、それをサービス化する流れで考えてみよう。
まず、自分が第3者からサーバを借り、そのサーバに動画からmp3を作るプログラムを入れる。ネットワークを通してCDから読み込んだ音楽データをサーバに移動し、サーバ内でmp3に変換を行い、再度自分のPCにダウンロードを行う。
この行為がどう判断するのかどうかの考察については、もう寝る時間なので、明日考えて、飽きてなかったら書こう。
追記
あれ、Proxyは自動複製機器じゃないの?
追記その2
ちなみにlivedoorエンコーダーと同様のサービスを行っている米RipDigital社は今日も元気に営業しているとさ…
めでたし…めでたし…….ざわ…ざわ…