ふと考えてみると、企業はノウハウを必死に隠し、隠せないものは特許や著作権として権利を守ろうとする。これらの権利があるのは、それらを権利として守ることが産業の発展に寄与すると考えられるからだ。
例えば、料理研究家なるものがレシピ本を出しているが、これは著作権の観点からどうだろうか?
本などに載る情報については、ほとんどが著作権で守られる。守られるが、守られるのは表現そのものであり、レシピそのものではないと考えられる。著作権で守られるのは「思想又は感情を創作的に表現したもの」だからだ。
よって、レシピそのものを公開するということは、自分だけが知っていたノウハウを全体に公開してしまうことになる。そして、それは何の権利にも守られない。その恩恵を受けている例がクックパッドというレシピを共有するサービスだ。レシピそのものには著作権は適用されないのだから、”どこからレシピを引いてきても”問題はない。
そう考えれば、料理研究家は自著にレシピを載せるということは、すごいことなのだと思う。ある種の同業者にモロぱくりされることを前提でレシピを載せる。
それは料理研究家は日々の研鑽によって、常に新しいレシピを生み出す自信があるからこそ、レシピを公開できるのだろう。その人からレシピをとっても何も残らない存在ではない、という点がすばらしい。
もし、レシピを公開したくないのであれば、レシピは秘伝のタレとかいう扱いになり、職業は料理人になるだろう。料理人もすばらしい職業だけれども、料理研究家も大変だが社会にレシピを生み出して放流するすばらしい職業だと思う。