日本雑誌協会が雑誌スキャン販売会社に著作権違反の警告

このブログでは著作権についての考察を行ってきたが、今朝、興味深い事例のニュースが入ってきた。

「コルシカ」に雑誌協会が抗議 雑誌スキャン・ネット販売は「著作権侵害」

記事によると、雑誌をスキャンしてネット上で販売するサービスである「コルシカ」が著作権を侵害しているとして、日本雑誌協会が中止を要請しているらしい。

コルシカの説明を見ては見たが、”オンラインで雑誌を販売する”、”その雑誌をデジタルデータにしたものを付する”形で販売を行っているようだ。エニグモ側の説明はこうだ。

 エニグモはサービスについて「雑誌を購入したユーザーのスキャンを代行しているという位置付けで、ユーザーの私的利用の範囲。著作権侵害には当たらない。ビューワにはDRMもかけており、不特定多数に送信することもできない」と説明している。

この問題の争点

この問題の争点は私的複製に当たるか否かにある。

第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
  一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合

私的利用であるとする場合、「使用する者が複製することができる」とある。ネット上で自動で雑誌スキャンできる仕組みが存在すれば自動複製機器とみなされるかもしれないが、公衆の使用に供するので除外される。

DRMを使おうが、雑誌を買っていようが、利用者以外の存在が複製を行っているのであれば、それは無断複製である。不特定に送信していないというのは公衆送信化権の話であり、複製とは関係ない。今回の声明で「代行」という言葉が出てきたが、この言葉の存在自体が私的複製ではないことを表している。

今回のケースでは、複製の主体がコルシカ側にあり、利用者が主体的に複製しているとは言えない。もしこれが通るのであれば、CDのオンラインデータ販売でさえも行えるし、CDのmp3変換サービスも問題ないはずである。

よってコルシカは著作物の権利者に許諾を得なければならず、日本雑誌協会の訴えは妥当だと考えられる。今回の問題が法廷に行くのかどうか、また和解案として双方が納得できる形になるのかどうか興味深い。

裁判になれば、新しい解釈が出てくるかもしれない。他人事なのでどうかと思うが、できれば最高裁まで持っていって欲しい。

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