引き続き、商業主義について考えている。前回は商業的・非商業的なモノについての観点から、考察を行った。
そこから1歩進めて、商業的なものには種類があるとして、どのようなアプローチに分類できるのか思考していた。
その結果、2つの傾向があるだろうことが想像できた。1つは、顧客調査の結果で売れることが分かっている製品・サービスを作るというアプローチ。もう1つは、売れないが良いと感じている製品・サービスを顧客へ届けるためのアプローチ。
前者のアプローチでは、顧客調査が正しく行われているという前提において、顧客が求めている「もの」を明確化し、それに似合う製品・サービスを製造・調達して提供することになる。後者のアプローチでは、既に「もの」が存在する、もしくは「もの」が存在せずに新しい「アイディア」が存在する状態において、それを受け入れていない・認知していない顧客に対してどのように提供していくかを検討し、提供する。
平たく言うと、「売れてるからやる」「売れるようにする」の違いである。
この事象について考えていくと、ああ、これは「ニーズ」と「シーズ」の違いじゃないか、と気づいた。「ニーズ」と「シーズ」の話を初回に聞いて「シーズ」が大事だと主張されたときには”そんなもの幻想だ。売れているものを作ればいい。”と思っていたが、時を経て、別の思考経路を経ると別の結論に到着していたようだ。
ただ、当時からある「ニーズ」と「シーズ」の説明には違和感がある。ニーズよりもシーズの方が重要である理由は、顧客からニーズを取得してサービスを作っていたのでは遅すぎるから、である。もしかしたら、自分がシーズの意味を理解し間違えているのかもしれない。
話を戻すと、「売れてるからやる」「売れるようにする」のような話を現実に当てはめようとする場合、特に興味のある携帯ゲーム機、NDSとPSPに置き換えてしまう。
例えば、NDSが売れた理由は”コアゲーマー層ではない層へのアピール”が良かったのだと思うし、PSPが売れた理由もまた”コアゲーマー層の要求に答えた”のが良かったのだろう。ただ、今回のNDSの成功によって、コア層ではない別の層へのアピールもまた検討事項である、という教訓が得られたことは良かったことだと思う。
このコア層と非コア層へのアピールについてはそれぞれ一長一短で、コア層は1人辺りの消費は多そうだが、非コア層は消費が少なそうだ。このデータについては調べてみる必要がある。
他の事例では、ひかりTVが50万契約を突破したようでで紹介したように
ひかりTVに契約する前、CATVやCSに加入していたかどうかについてCATVは75%、CSは80%が「一度も加入していない」と回答
という内容もある。
このような観点に立って物事を考えてみると、非コア層へのサービス提供は有力な選択肢となる。だが「売れるようにする」という観点の上では選択肢の1つに過ぎない。
「売れてるからやる」「売れるようにする」、自分が今まで好きだった製品・サービスがどちらの部類のものだったのか、どのようなチャネルを用いて自分に届いて響いたのか、確認作業中だ。
このようなことを感性で感じ取って行える人々が羨ましい。まだまだ勉強の日々だ。