P2Pマルチキャストを囲い込む動きと私見

Yahoo!動画はBBマルチキャストを採用しており、その実態はオーバーレイマルチキャスト活用の動画配信システムである。記事によると70~80%以上のコスト削減に成功しているようである。

Yahoo!動画 – ブロードバンドで動画を楽しもう!にて、パリーグの4球団の主催試合を見ることができる。野球なんてテレビ放送よりもネット放送の方が日本全国見られるので適していると思うのだが、どうだろうか。

P2Pマルチキャストについては、自分で実現しようとする際に2つの課題があると感じていた。

その一つはトポロジ問題である。送信元に近い回線ほど広帯域低遅延でありたい、遅延は測定可能だが、帯域のリアルタイムな測定は難しい。なぜなら帯域の測定には、損失が発生するほどのトラヒックを必要とする。損失が発生してしまうと誤り訂正のロジックを積まないと劣化してしまう。

その課題に対しては、帯域の測定の近似を、遅延で行うことである。一般に損失が発生する場合、経路のどこかでバッファのオーバーフローを引き起こすことになるが、その直前の兆候として遅延に影響が出る。バッファが溜まりつつある状態になると、遅延の値が変動するはず…という期待があるからである。このロジックはTCPのVegas、またDVTSの研究でも使われているものだったので、思慮が足りなかった。

もう一つの問題はあるノードが視聴を終えた場合のトポロジの変更が下位ノードに影響してしまう点である。これは、自分の上位ノード、下位ノードが消失した場合の別の経路を前倒しで計算しておく、という手が使えないか。もし、自分の上位ノードが消失した場合は、既に計算済み(かつ予約済みか?)の上位ノードに接続を行う。

既にいくつかあるP2Pマルチキャストのシステムはこれらの特徴を備えているのかもしれない。

netstatしてみると、BBブロードキャストの場合は、TCPで接続しているようだ。upnp.dllというファイルがインストール中に見えたので、BBブロードキャストはupnpを使ってルータのポートを空けようとしているようだ。

結局のところ、P2Pマルチキャストは生放送にしか使えない訳で、スポーツ中継以外の使い道が見えない現状では、Yahoo!動画がよくわかっている。それ以外の文化も育ちつつあるようだが…

追記:

誰でも大規模ライブ配信ができる「Channel.is」、ウタゴエが公開:ITproにてIPA未踏プロジェクトで採択されたP2Pマルチキャストのサービスが公開されている。

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