セブンイレブン幹部が、賞味期限の近い弁当を安売りしないように圧力をかけていたとし、公正取引委員会の介入があった。フランチャイズと店主の契約上は、みきり販売を認めるものであったが、幹部が圧力をかけていたという。
セブンイレブンというシステムでは、発注について、かなり気を使っている。多すぎず、少なすぎずもせず。そうした作業をアルバイトに裁量を与え担当したりする。なぜ、セブンでバイトをすると3カ月で経営学を語れるのか?―鈴木敏文の「不況に勝つ仕事術」40が詳しい(はず)。そうした発注のミスで廃棄が大量に出るとすれば、見切り販売できないのだから、リスクは大きい。
みきり販売をしない理由はなんとなく程度しか分からないが、値引きをされなければ絶対買わない層はあると思う。みきり販売を認めることで、個別の店は最終的には”売り上げを落とす”結果に終わると想像している。店主自らが自主的な判断で、足並みをそろえて定価販売をすることが、実は自らの利益をもっとも高める方法になる。カルテルになってしまうかもしれないが。
このように定価を強要して値下げ販売できないように圧力をかけることを、再販と呼ぶ。
そもそも再販制度は、独占禁止法という概念があってはじめて存在する。日本では、書籍、新聞、雑誌、音楽に関して再販が認められている。特に音楽に関して日本が行っているのは珍しいケースである。Wikipediaの再販制度の記事によると、米国・英国ではこれらの再販制度は認められていない。
また日本では著作物に対しても再販を認めており、セガがゲームソフトの再販の圧力の理由に著作物であるとしたことがあるが、審判では違反であるとされたらしい。中古ソフトウェアの流通も考えると、新品の流通で多くの利益を得ることが大事であり、再販をしたい気持ちも分かる。
市場原理を考えれば、今後、再販制度は廃止するべき方向のものかもしれない。
ただ、今回のセブンイレブンの件で、みきり販売することによって不利益になるのは誰なのか、分かっていない点が気になった。自分の首を絞めているだけのように見えるのは、気のせいだろうか。…消費者にとってはいいことだが、店がつぶれてしまっては元も子もない。